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クマは食べごろを狙う!?連日の野菜&果物被害…赤と青のトマトどっちを食べるか検証

社会

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北海道では生ごみや家庭菜園の果物などを狙ったヒグマが連日、住宅街に出没し、秋田県の農園ではモモが食い荒らされ、約2000個に被害が。専門家は、クマは野菜や果物の食べごろを見極めていると指摘しています。番組では、そんなクマの習性を独自に検証しました。

■道路でシカ襲撃&深夜の巨大グマ

断末魔の叫びにも聞こえる、シカの鳴き声。北海道羅臼町で撮られた、エゾシカを襲うヒグマの映像です。そこには、自分より大きなシカを山へと引き込む、クマの姿が映し出されていました。 北海道共和町の畑には、深夜、巨大なクマが出没。突然現れた3頭のクマに、車が足止めをくらう事態も起きました。人身被害も続いています。秋田県北秋田市の障害者施設では、入所者が襲われ、意識不明となりました。

■“連日ヒグマ”の町 「2晩で3回 来た」

相次ぐクマの出没に“注意報が発表されている街”がありました。 (被害にあった住民)「スイカとメロン(をやられた)」 Q.回数は? 「2晩で3回来ていたな」 北海道上ノ国町。この町では、先月22日以降、20件のクマの目撃や、食い荒らされた跡などが見つかっています。 (下里航平ディレクター)「先月30日、こちらに置かれていた生ごみ処理機をクマが壊しました。付近の畑ではクマの目撃が相次いでいます」 こちらの農家では、植えていたトウモロコシが食い荒らされていました。狙われたのは、今が旬の農作物。 (被害にあった農家)「自分の畑にはクマは来ないと思っていた。トウモロコシ植えていても。だけど今年はクマ入ったんだよ。今年初めて」 この畑には、クマのものと思われるいくつかの足跡も残されていました。 こちらの農場では、防護ネットに生々しい爪跡まで… 上ノ国町は、先月12日、新聞配達員が襲われて死亡した福島町に隣接した街。不安は募ります。 (被害にあった農家)「4時半に私、いつも起きて野菜をとるのに(畑に)出るんだけど、何回ももうやられているからね、今朝もやられている。だから怖いよ、やっぱりね」

■クマは“食べごろ”狙う? 瞬間映像

先週、クマの専門家を取材した際“クマの習性”について、こんな話をしていました。 (岩手大学 山内貴義准教授)「基本的には川沿いを歩いてきて、川沿いに食べ物がないか。河畔林にもいろいろ食べ物があるんですけど、そこからさらに一歩踏み出して、住宅地の家庭菜園や公園の中を物色して、いつ食べごろになるのかをちゃんと計算して、また戻ってくる。」 それを裏付けるような動画があります。これは5年前の7月に柿の木を撮影した映像。 (岩手大学 山内貴義准教授)「まだ7月なので、柿が食べられる状態ではないんですけれども、今どういう状態なのかというのをチェックしに来ていると。」 動画では、毎日のように、何度も何度も柿の状態を確認するツキノワグマの姿がとらえられていました。そして、その2年前の9月、同じ柿の木を撮影した映像では… (岩手大学 山内貴義准教授)「9月になると柿が食べられるような状態になってくる。これは親子の個体で、もう完全に食べる実を選んでいる状態ですね。おそらく子どもはもうかなりかじっているんです。親は多分隣の方の柿の木を食べに行っている感じ。」 柿が熟したころを見計らっているのでしょうか。 (岩手大学 山内貴義准教授)「基本的には雑食性なんで、何でも食べるんですけど、やっぱり、結構グルメで、その時期になる美味しい餌が、一番いい状態になってから食べ始めます。」 本州と四国に生息する『ツキノワグマ』と、北海道の『ヒグマ』。『ツキノワグマ』は、植物をより好んで食べ、『ヒグマ』は、肉食傾向が強いといいます。

■“完熟”赤トマト or 青トマト 検証

実際にクマは、熟した実を選んで食べるのでしょうか? 今回、愛知県の豊橋総合動植物公園の協力を得て検証実験を行いました。 (草薙和輝アナウンサー)「こちらがヒグマのブースです。いましたね、27歳のメスのヒグマです。近くで見ると大きいですね」 『アマナ』と名付けられたこちらのヒグマは、人間で言えば80歳近くの高齢のヒグマ。今回は普段、餌に出ているというトマトで実験。熟した赤いトマトと、まだ熟していない緑のトマト。果たして、どの様な結果となるのか、実験開始です。 (草薙和輝アナウンサー)「今、扉が開きヒグマが出てきました。ゆっくりと今、トマトの方にヒグマが近づいていきます。」 「今、視界にとらえましたね。まず青い方、熟れていないトマトに近づいていきました。口で動かし…どうでしょう。あっ、食べています。食べましたね、かじりました。どんどん食べていきます。」 熟していない“青いトマト”を食べる、意外な展開…しかし… (草薙和輝アナウンサー)「今度は赤いほうですね、気づきましたね。赤いトマトを手で囲うようにして、今口にしていきます。口元見えづらくなっていますが、食べていますね。あ、もう無いですね。青いトマトは少し残したのですが、赤いトマトは全部食べましたね。跡形もなく赤いトマトを食べ切りました。」 別の場所に設置したトマトも… (草薙和輝アナウンサー)「あ、いきましたね。赤いトマトを先に食べました。」 結果、完熟のトマトは跡形もなく完食、青いトマトは口にはしたものの食べ残してしまいました。人目が気にならないよう、室内の檻の中でも実験しましたが、完熟のトマトを完食し、青いトマトは残す結果に… Q.(青いトマトは)食べ残したが? (「豊橋総合動植物公園」 獣医グループ専門員 吉川雅己さん)「やっぱり美味しくないんだろうなって。最初に緑の(トマト)方に興味を示して、食べかじったと思うのですが、食べ物としての認識ではなかったと思います。」 日頃の食べ方からも、味の違いは分かっているといいます。 一方、ツキノワグマでも同様の実験を行うと… (草薙和輝アナウンサー)「赤い熟れたトマトの匂いを嗅いでいます。そして青い方も匂いを嗅ぎに行きます。それぞれの匂いを嗅いで確認していますね。トマトにはかなり興味を示しています。」 しかし結果は、食べることなく終了。実はこちらのツキノワグマには、これまでトマトを与えたことがなく、餌としての認識が無かった可能性があるといいます。

今回の実験映像を見た専門家は… (岩手大学 山内貴義准教授)「クマは色の識別自体はあまり赤と緑は得意じゃないと言われていますので、(匂いで)嗅ぎ分けてちゃんと食べる順番を考えている。味をやっぱり分かっていて、食べ頃っていうのはちゃんと認識して(食べる)順番を付けているんだなというのは分かりました」 取材した被害現場をみると、食べ頃のトウモロコシは食い荒らされ、まだ熟していない物は、手つかずのまま残されていました。 (作物被害のあった地域の農家)「明日とろうかなと思えば、きちんとクマが来て食べていく。退治しない限りまた来ますよ。」 (岩手大学 山内貴義准教授)「クマはちゃんと餌となるような場所をちゃんと把握して、いつ食べればいいかっていうのを熟知しているということなんです」

■桃2000個被害 “クマの食”に異変!?

(果樹園の代表 池田貴宏さん)「そこの畑なんですけど」 秋田県鹿角市にある果樹園では、お盆明けにも、桃の出荷を予定していましたが、クマに食い荒らされ、2000個もの桃に被害があったといいます。そこには“ある異変”が…。 (果樹園の代表 池田貴宏さん)「今年のクマの傾向なんですけど、全然味がしない、シブい桃を(クマが)食べているので、多分相当、山の中の木の実だとか不作というか(餌が)無いんだと思います」 成熟前の桃にさえ手を出してしまうクマ。猛暑による餌不足で、人里での被害が相次いでいますが、専門家は、今後さらに警戒が必要だと指摘します。

■“餌大凶作で“人里クマ”増に警戒 (岩手大学 山内貴義准教授)「林野庁の発表を見ても今年は、『ブナ』が凶作であるという予想になっていますので、『ミズナラ』とか『コナラ』とか『栗』とか『くるみ』とか、そういった代替のものがあるので、里にだんだん近づいてくる。」 クマは、標高が高いところにある『ブナ』や『ミズナラ』。その下にある『コナラ』『栗』『クルミ』などを餌にしています。『ブナ』や『ミズナラ』が凶作になれば、その分、標高が低いところにクマが下りてくる可能性があるのです。 実際『ブナ』や『どんぐり』が凶作だったおととし、柿の木に登り、実を食べるクマの姿が撮影されていました。 (岩手大学 山内貴義准教授)「人間を恐れない個体がいれば、そういった個体は、さらに住宅地の方まで行って、ごみを漁ったりとか、もしかしたら住宅に入って、また倉庫の中を荒らしたりとか、普通の住んでいる家に入り込んじゃうということも、もしかしたらなくはないかもしれない。」

8月3日『有働Times』より

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