卵の価格が高騰するなか、どう乗り切るのかについてです。今、注目を集めているのはカチコチに凍らせたり、乾燥させたりです。
■「凍結卵」「乾燥卵」って何?
客(70代) 「(卵)高い」
卵の価格の高止まりが続く今、注目されているのがサラサラの粉末の卵に、カチコチに凍らせた卵。
1年半、長期保存が可能。卵の安定供給の救世主になるかもしれません。
客が一直線に向かうのが東京・墨田区のスーパー。飛ぶように売れていたのは卵です。
その理由は価格、1パック税抜き217円。
客(80代) 「きょうはここは安い、特売日」 「(普段は)300円前後する。孫にゆで卵を作るのでありがたい」
店は日々変わる相場に頭を悩ませています。
スーパーイズミ 五味衛社長 「先週まで我慢して100円台で売っていた。また(原価)上がってしまって(値上げは)しょうがないかなということで初めての値段」
東京の卵1キロあたりの平均卸売価格は334円。「エッグショック」と呼ばれた、おととしの350円に迫っています。
高値の背景には先月から北海道や新潟県で相次いでいる鳥インフルエンザもあります。これにより、さらなる卵の供給不足も懸念されています。
そんななか、安定供給の鍵を握るかもしれない、もう一つの卵が注目されています。
訪ねたのは東京・青山のレストラン。店の自慢はカルボナーラ。使っているのは生卵ではありません。
Cafe Madu AOYAMA 藤原智康シェフ 「10人前くらいある、意外と。大体スプーン1杯で3個分くらいの卵黄」
その名も「乾燥卵」。卵を乾燥させて水分を飛ばし、粉末にしたものです。最大のメリットは長期間、保存がきくこと。
Cafe Madu AOYAMA 藤原智康シェフ 「こちらは18カ月持つ」
粉末だけではありません。
Cafe Madu AOYAMA 藤原智康シェフ 「冷凍された全卵の卵。殻を割って殺菌処理されたもの」
卵の中身を低温で凍らせた「凍結卵」。最大で1年半、保存できます。
■“卵高騰”の切り札か
では、加工卵をどのように使うのでしょうか。
まずはパスタに凍結卵を入れます。次に乾燥卵をまぶし、よく混ぜまると…。
Cafe Madu AOYAMA 藤原智康シェフ 「(Q.とろみがあっという間に出ますね?)見た目は普通の卵製品と変わらない」
生卵のように大きさのばらつきがなく、味の仕上がりが安定するのも特徴です。
Cafe Madu AOYAMA 藤原智康シェフ 「食感も変わりない、粘りもしっかり残っている。ほぼ同じ卵」
生卵の10キロ箱と比べると、加工卵は必要なスペースが大幅に少なくなります。在庫のロスを抑え、繁忙期でも安定して提供できるといいます。
Cafe Madu AOYAMA 藤原智康シェフ 「通常の価格で安定しているので計算はしやすい」
実は加工した卵は家庭でも手に入ります。一体、価格はどれくらいなのか…。
さらに、加工卵を活用した簡単レシピをシェフが伝授します。
都内にある欧風料理が自慢のレストラン。鶏もも肉の煮込みにあわせるのは低温で凍らせた加工卵です。
賞味期限は1年半。長く保存できるうえ、卵の価格変動に左右されにくいのが強みです。
俺のフレンチ・イタリアン青山 秋田一弥料理長 「卵の値段が上がっても商品を値上げするのは難しい。(加工卵は)価格もほぼ変わらず仕入れられ、非常にありがたい」
この凍結卵、実は家庭でも購入できます。
ネット通販では卵30個分に相当するパックが1250円。卵10個分で400円を超える計算ですが、その分、料理は手間いらずです。
凍結卵をレンジで解凍し、ボウルへ移すだけ。殻を割る作業も溶く手間も省いて卵焼きを作ることができます。
さらに、溶結卵を生かして本格フレンチも手軽に作れるといいます。
俺のフレンチ・イタリアン青山 秋田一弥料理長 「『クレーム・ブリュレ』なんかは非常に作りやすいと思います」
作るのはクレーム・ブリュレ。まずは解凍した加工卵をボウルに入れ、グラニュー糖、牛乳、生クリームを加えます。香り付けにバニラエッセンスも。
あらかじめ溶いてあるタマゴなので砂糖がなじむ程度に混ぜればOK。あとはバットに水を張り、160℃のオーブンで蒸せば完成です。
俺のフレンチ・イタリアン青山 秋田一弥料理長 「作業時間としては、食材を集めるところからでも30分から40分ほどで作れる」