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目黒区で“地震危険度5”だった街の改善策は 死者1.8万人想定 首都直下地震

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21日朝、青森と岩手で最大震度4の地震が発生しましたが、政府は12年ぶりに首都直下地震の新たな被害想定を出しました。注目は死因の6割以上を占めるとされる火災です。 かつて、地震による被害の危険度で最悪のランクだった東京・目黒区の地域が、評価を劇的に改善させた取り組みを取材しました。

■首都直下地震 死者6割超が火災

世界で発生する地震の約10%が日本とその周辺で起きていると言われる“地震大国・日本”。 政府の有識者会議はおととい19日、12年ぶりに首都直下地震の被害想定を見直しました。 (政府中央防災会議作業部会 増田寛也 主査)「死者数最大約1万8000人、全壊焼失棟数は最大約40万棟」 国難級の災害となりうる被害想定は、死者、最大1万8000人。12年前から5000人減ったものの、“10年で死者数半減”という目標には届きませんでした。 また、建物の全壊が約13万棟。火災による焼失が27万棟。経済的被害は83兆円に及ぶといいます。

死因の6割以上を占めるのが火災。死者は1万2000人が想定されています。大規模な火災の原因のひとつが、いわゆる“木密地域”です。狭い道路に住宅や店舗が密集し、2008年の調査で、建物の倒壊や火災のリスクが高いとされた西小山。今、街の姿が変わりつつあります。 (草薙和輝アナウンサー)「こちらの地域は木造の建物などが多いとされ、以前は地域危険度が最も高い“ランク5”でしたが現在は“ランク3”に改善されていると言います」 (目黒区 木密地域整備課 西尾千暁課長)「老朽化した木造住宅を、共同(住宅)化して、こういう防災性の高い建物に建て替えるという事業を行いました。こちらの建築物が建ったことによって、密集性も解消され、耐火性も高い、非常に安全な街が形成された」 密集していた木造の建物を、耐火性の高いマンションへ建て替える。進めているのは、“災害に強い街づくり”です。 (目黒区 木密地域整備課 西尾千暁課長)「この縦の道とこちらの商店街の道についてはご覧になっていただくと分かるように、電柱がなくなっているような場所になっています。地震が起きた際に電柱が倒れてしまって、道路を塞いでしまうと緊急車両が通れなくなってしまうんですね」 道の両端にあった電柱は、去年から“無電柱化”し、安全な避難経路の確保も可能に…。さらに、こちらの道路は…。 (目黒区 木密地域整備課 西尾千暁課長)「今、幅を20mに広げる工事を東京都の方で実施をされておりまして」 (草薙和輝アナウンサー)「この辺りはまさに道路に?」 「これから、ひろがってくる場所になります」 かつては住宅が立ち並び、道幅約7mだったのが、今では20m幅に…。しかし、“木密地域の解消”には、まだ課題が残されていると言います。 (目黒区 木密地域整備課 西尾千暁課長)「木造住宅の密集地域というのは、工事車両が入らなかったり、隣との敷地がちょっと近すぎて工事が難しいっていう部分はありますね。敷地の持っている課題というのが、解決するには時間がかかる部分だと」

■避難所不足に秘策 “隣のマンション”

さらに危惧されているのは、“被災者の避難”です。今回の想定では、避難者は12年前から減少。一方、避難所へ避難する人は、停電被害の想定手法などの見直しから、120万人増加し、約410万人になるといいます。

首都直下地震で懸念される“避難所不足”。それを解消するヒントにもなる、“ある取り組み”が行われていました。 (海老名市自治会連絡協議会 吉澤博昭 会長)「こちらは災害時に近隣の方たちを受け入れてくれる、市と協定を結んでいるマンション自治会の1つでございます。」 神奈川県・海老名市では、民間のマンションを一時的に避難できる施設として開放。被災した近隣住民を受け入れようとしています。 (海老名市自治会連絡協議会 吉澤博昭 会長)「建物自体が堅牢であるということと、いわゆる建物の倒壊とか、そういうことが可能性として少ないので、災害に対処できる場所が増えるのではないかということで、進めさせていただいています。」 住民主導で立ち上がったこの計画。今では市内10カ所のマンションを利用して、数百人規模の避難者の受け入れが可能になったと言います。 (さつき町自治会 飯沼光雄 会長)「簡易の生活だと30人くらいが、ここに仮に避難することができると思います。」 こちらのマンションでは、集会所などの共用スペースを開放し、協定を結んだ海老名市が随時、備蓄品を補充。最大30人が7日間避難できるようにしています。近隣住民は… (70代 近隣住民)「足が悪いから、避難するときの、そういう心配もあります。近いところに(避難する場所が)あるっていうのが一番いいことだと思います。」 しかし、マンションの住民の同意を得るには時間を要したと話します。 (海老名市自治会連絡協議会 吉澤博昭 会長)「『どうして近隣の方も含めて?』というようなご意見もありましたけれども、ご近所さんに対する支援ということで、皆さんが同意していただいて」 そんな住民たちにも、こんなメリットが… (海老名市自治会連絡協議会 吉澤博昭 会長)「マンションに住まれている方は、市からの非常食料と支援を受けられ、そして、そういうような仕組みを理解していただくことで、防災意識も高まる。ウィンウィンの関係の協定だと考えています。」

12月21日『有働Times』より

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