記憶遺産ゆかりの地で盛大にパレードです。ユネスコの世界記憶遺産に登録されることが決まった「朝鮮通信使に関する記録」。資料の一部がある岡山県瀬戸内市牛窓町では5日、通信使の行列を再現する催しが行われ、多くの人でにぎわいました。
朝鮮通信使の再現行列は今年で25回目となる国際交流行事です。牛窓町公民館から、かつて通信使の宿所だった本蓮寺まで約200人が2キロほどの距離を練り歩きます。 牛窓は通信使が江戸時代の12回の派遣のうち、9回寄港地として訪れたゆかりの深い場所です。
本蓮寺は通信使が寺を訪れた際に残した掛け軸を9幅所蔵しています。行列は、朝鮮の民族衣装などに身を包んだ参加者たちが楽器を演奏したり踊ったりしながら進みます。 列の中腹で台車に乗っているのが正使と副使、朝鮮通信使の2人です。沿道には近所の人やアマチュアカメラマンなど、大勢のギャラリーが詰めかけていました。
(岡山藩主役 瀬戸内市の武久顕也市長) 「登録が決定した直後の行列ということで、今年はより一層お客さんも多くて、にぎわってほんとによかったなと思います。」
(正使役 駐神戸大韓民国総領事館 朱哲完総領事) 「(正使役は)今回で3度目となりますがいつもうれしい限りです。韓日関係が今回の登録を機にさらに発展していくことを願っております。」
今年は初めて漁船を装飾した船に正使と副使を乗せ、岡山藩主が港で迎え入れるという演出が行われました。 この行列には、釜山市や瀬戸内市の友好都市密陽市の中学生など韓国から約40人が参加。また日本の学生も参加し若者たちの交流の場にもなっています。
(韓国の中学生は―) 「日本に来たのも初めてだし、こういった交流に参加したのも初めてです。」 「今まで歴史の教科書でしか見ていないものが、実際に再現されているのが不思議に感じました。」
(岡山の大学生は―) 「韓国の人とも通訳を通してですけど話せたんでよかったです。」 「改めて韓国って国が身近に感じることができました。」
最後は本蓮寺で国書の交換を再現するセレモニーが行われ、催しは幕を下ろしました。