インフルエンザのワクチンを毎年この時期に打つ人も多いのではないでしょうか。ただこのワクチンが今年は不足するという心配の声が上がっています。
去年はワクチンの製造量と実際に使った量を比べると十分に足りていましたが、今年の製造量の見込みは2528万本で、去年の使用量と比べて114万本も足りません。
倉敷市の川崎医科大学付属病院院内感染対策室の専任医師で、小児科の寺田教授にワクチン不足の原因を尋ねました。
(寺田喜平教授) 「予定していたワクチン株の増殖が悪くて3割ぐらい収量が少ないということで、作り直したというか変更したということですね」
インフルエンザのウイルスには「A型香港、ソ連型」などの種類があります。ワクチンは流行しそうなA型2つとB型2つのあわせて4種類のウイルスに効果があるものを毎年作っています。 WHO・世界保健機関が1月から2月に次の冬に流行しそうなインフルエンザの型を10種類ほど発表します。その後、厚生労働省がその中から4つを選び、ワクチン製造メーカーに依頼しています。 今年はこの段階でA型の1つの製造効率が悪かったためこれを別の種類に変えたため、製造が1カ月遅れたということです。
川崎医科大学付属病院の寺田教授は、今後、製造量は増えるので心配して医療機関に駆け込む状況ではないと話す一方、国から「ある指示」があったと話します。
(寺田喜平教授) 「国からの指示で13歳以上について、2回(接種)を希望する方もおられるんですができるだけ1回にしていただくと、13歳以上の人が1回の接種とそれぞれの医療機関がたくさん抱え込むことがなければ大きな不足にはならないんじゃないかなと」
一方、早めに対応している病院もあります。 ワクチンの不足を受け、岡山市にある「せとうちクリニック」では去年打った人数分だけは確保しました。
(せとうちクリニック 白石彰彦院長) 「会社でまとまってワクチンを打つ方を予約で受けているんですが、そういうふうな事情があらかじめ分かっていたので新規のご予約の方は控えるようにした」
医薬品の卸業者と交渉し、去年打った人数、約460人分は確保できました。
(せとうちクリニック 白石彰彦院長) 「毎年2回打っていた方は1回にしていただく対応をしていただければ、ワクチンは不足して行き渡らないということはないと思っています」