香川県小豆島と東京を拠点に、少部数発行の出版物「リトルプレス」を紹介する活動に取り組む女性がいます。現在、シリア内戦下の少女を描いた本の翻訳出版を目指し、クラウドファンディングを行っています。
(LITO BOOKS/荒木美弥子さん) 「個性的な本とか、商業ベースにのっからない本の居場所が、どんどんなくなってきてるんじゃないか。少しでもそういった、本の居場所があるといいなと思って」
「LITO BOOKS」の名で活動する、荒木美弥子さん。 国内外でセレクトした個性的な絵本やアートの本、雑誌などを広く伝えるため、一箱古本市などのイベントに出店しています。 今年の瀬戸内国際芸術祭では、高松市のBOOK MARUTEを運営する小笠原哲也さんとともに「アートブックフェア」を主催します。
そんな荒木さんが出合ったのが、2016年にデンマークで出版されたグラフィックノベル「ZENOBIA(ゼノビア)」です。作者は、荒木さんのイギリス留学時代の友人、モーテン・デュアーさんです。
(記者) 「中を見てみますと、文章は少なめで、イラストが中心となっています。とても繊細に描かれていて見る人の想像力をかきたてます」
主人公の少女は、シリア内戦の戦火を逃れるためボートで国の脱出を試みますが、船は転覆してしまいます。海に沈みゆく少女の回想を通じ、不条理な現実と、戦争の意味を投げかける物語です。
すでにアメリカや韓国など世界15カ国で翻訳出版され、高い評価を得ていますが、日本では…
(LITO BOOKS/荒木美弥子さん) 「知人の方とか出版社さんにいろいろ話してみたんですけど『やっぱりこれは採算あわないんじゃないのかな』『ビジネス的に難しいかもしれない』『いい本だけども…』っておっしゃっていて、でもどうしても出版したいんだっていう気持ちがありまして」
そこで荒木さんは、クラウドファンディングを元に翻訳出版する「サウザンブックス」と一緒に日本語での出版の実現を目指すことにしました。書籍や電子書籍の購入予約のほか、出版記念イベント参加権などのリターンで出版のための資金を募ります。目標金額は220万円で、2月18日までの期限内に到達しなければ出版されません。(クラウドファンディングサイトは「ゼノビア グリーンファンディング」で検索)
2児の母でもある荒木さん。子どもから大人まで幅広い世代に、「ゼノビア」を読んでほしいと話します。
(LITO BOOKS/荒木美弥子さん) 「中東のシリアで何が起こっているかは日本の私たちからはなかなか想像がしにくいけど、実際こんなことが起こっているよ、っていう気づきのきっかけを与えてくれる本。また、当たり前の生活、普通の生活をするってどれだけ貴重なことかとかどれだけ大切なことかとかをすごく感じることができる、すごく普遍的な本だなと思う」