シリーズでお伝えしている「この先も瀬戸内海と」。高級食材として知られる「タイラギ」の漁獲量が大きく減少しています。 瀬戸内海の冬の味覚の一つである「タイラギ」。その減少の原因を究明するため、岡山県の水産研究所では本格的な調査に乗り出しています。
水産研究所では、2018年から定期的に岡山で揚がったタイラギのサイズや年齢などを測定しています。
(技師/渡辺新さん) 「まず、今(の状態)がどうなっているのかを調べているところです」
これらのタイラギは倉敷市の下津井地区で水揚げされたものです。下津井でのタイラギ漁は重さ60キロほどの装備をまとい、ヘルメットにホースで空気を送り込みながら海底を歩いて行います。
漁師が手に持っているのは「手かぎ」と呼ばれる道具。これにタイラギをひっかけて捕まえます。
古くからタイラギ漁が盛んな下津井で「貝柱」といえば「タイラギ」のこと。しかし現在、下津井のこちらの料理店では…
(ふく仙オーナー/荻野健三さん) 「今は(貝柱に)タイラギとホタテまで使いだしました。タイラギ切らすときは、ホタテでしたらだいたい通していけますから。がっかりされるお客もおりますわね。入らん時が多いですから」
岡山県でのタイラギの漁獲量の推移は、2009年度に一気に落ち込んだ後回復の兆しは見られません。2018年度は2005年度と比較してわずか2パーセントの漁獲量しかありませんでした。
タイラギは、なぜ減ってしまったのでしょうか?
(渡辺新さん) 「原因としては大きく3つ考えられると思います。1つは漁場環境の悪化ですね。
海底に泥がたまっているとタイラギの生息には適しません。また、タイラギは濁りに弱く濁りがあると餌を取り込まなくなってしまいます。
海底の環境がそういう風に変化したことが、タイラギ減少の原因として考えられます。
(渡辺新さん) 「2つ目は有明海では大きく言われている食害ですね。有明海ではナルトビエイの食害と言われている。そして3つ目が漁業活動による…たくさん取られている。大きくはその3つですかね」
タイラギ減少の原因はまだ解明されていません。水産研究所では漁場環境の調査などを行いながら早ければ2022年3月までに調査を終え、タイラギの減少を食い止めるための対策を見つけたいと考えています。