国立ハンセン病療養所がある高松市の大島で、コロナ禍で中止になっていた瀬戸内国際芸術祭の作品の定期公開が10日から再開されます。
高松港から船で約30分。国立ハンセン病療養所大島青松園がある大島には、瀬戸芸のアート作品が展示されています。
10日に再開される月に1度の定期公開に先駆け、ボランティアらが作品を手入れしました。
(こえび隊/笹川尚子さん)
「芸術祭をやっていない年も私たちこえび隊(ボランティア)が島に通って作品を公開したり、来場者の方にガイドをして、より多くの方に大島のことを知ってもらえたらという気持ちで取り組んでいます」
大島では、高齢の入所者らに対する新型コロナの感染拡大を防ぐため、2020年の春ごろから、立ち入りを制限していました。これに伴い、作品の定期公開も中止していました。
大島には、国による誤った強制隔離政策で、療養所での生活を余儀なくされた入所者らの思いを伝える作品が多く展示されています。
入所者の野村宏さんは、現在87歳。差別や偏見の歴史を知る入所者が少なくなっている中、次の世代にどう伝えていくかが課題となっています。
(大島青松園 入所者/野村宏さん[87])
「差別や偏見のためにこの島に閉じ込められたという、そういうことが分かってもらえるだけでも意味があると思う。だから見てもらう、感じてもらうのが一番大事だと思う」
大島での瀬戸芸の作品公開は毎月第2土曜と日曜に行われます。