夫婦が結婚する際に同姓か別姓かを選べる「選択的夫婦別姓制度」の導入を求める声が経済界からも上がっています。そんな中、19日香川県の3つの町議会が国会に議論の活性化を求める意見書を可決。これで県内「全て」の議会で意見書が可決されました。
3月定例綾川町議会の最終日。議会に意見書の可決を陳情した市民団体「選択的夫婦別姓を願う香川県民の会」、通称「ぼそぼその会」のメンバー2人が傍聴に訪れました。
2020年に発足した「ぼそぼその会」は、望まない改姓をめぐる胸のうちをぼそぼそと語り合うことから始まりました。
2021年12月、高松市議会に陳情した「国会に夫婦別姓制度の議論活性化を求める意見書」が全会一致で可決。
その後も、議員を対象に勉強会を開いたり個別の面会を重ねたりして陳情や請願を行い、意見書の可決を促してきました。
綾川町議会は陳情を受けて制度の議論活性化を求める意見書案を議員提案。19日の本会議で採決が行われ、賛成多数で可決しました。
(ぼそぼその会/山下紀子 代表)
「3年間かけて議員さんたちに話をしてご理解いたいだいてきたので最後の可決の場面を見られてすごくうれしく思っています。『今まで選択的夫婦別姓について考えたことがなかった』っていう議員さんもたくさんいたんですけど、香川県内の全議員さんが一度は考えて判断したっていうことなので本当に感謝してます」
(綾川町議会/河野雅廣 議長)
「(山下さんたちと話して)いろいろ気付かされましたよ。自分自身は古い考え方の人間やから、1人でも生きづらさを感じる人がおったんではいかんわ」
香川県では3月11日に宇多津町議会で。そして19日、綾川、多度津、まんのう町議会で意見書が可決され、県議会を含む全ての議会で選択的夫婦別姓に関する意見書が可決されました。
ほとんどの意見書は保守系議員の賛同も得やすいよう国会での「議論活性化」を求めるものですが、宇多津町議会は一歩踏み込んで「法制化を求める」ものです。
一方、岡山県ではこれまでに議論活性化を求める意見書を可決した議会は6市2町にとどまっています。岡山県議会は制度の導入に「反対」する意見書を可決しています。
選択的夫婦別姓制度を巡っては3月8日、東京都や札幌市に住む男女12人が「夫婦別姓」を認めていない民法の規定は憲法に違反するとして、国に損害賠償などを求め提訴。
同じ日には、企業の経営者らが法改正の要望書と賛同署名を法務省に提出しました。
ぼそぼその会の山下さんも上京して要望活動に加わり、「流れの変化」を感じたそうです。
(ぼそぼその会/山下紀子 代表)
「いろんな人がいろんな方面から選択的夫婦別姓という制度がないため(に起きる)問題を国会に届けてくださっていて、これから一日も早く法改正に向けて動いていったらいいかなと思います。(今後は)国会議員の皆さんにできるだけお会いして私たち当事者の声を届けていけたらなと思います」