大正時代、今の高松市伏石町で小作の農民が地主に対して行った労働運動が刑事事件に発展し、「伏石事件」として全国的な注目を集めました。事件から2024年でちょうど100年。遺族らが慰霊祭を開きました。
慰霊祭は高松市伏石町にある慰霊碑の前で毎年この時期に行っていて、遺族や地域の人ら約20人が出席しました。
文献資料によると、事件が起きたのは1924年。発端は伏石地区の小作農民たちが土地の使用料にあたる小作料の削減を地主に求めたことでした。
地主が対抗策として稲を差し押さえましたが、農民らが刈り取りと脱穀を行ったところ、警察が窃盗などの疑いで農民と弁護士あわせて24人を検挙。
過酷な取り調べで自殺者も出て全国で抗議行動が行われました。
祖父が事件の当事者である植田重則さん(79)は、事件の背景をこう分析しています。
(祖父が事件当事者[慰霊祭の実行委員長]/植田重則さん[79])
「利益の配分っていうのは偏っていると思い始めた時期なんだろうと。権利意識を持ってきた一般市民とかを(国家権力が)そんな簡単にはいかんよというふうなのを見せつけたんじゃないかなという気がいたします」
(祖父が事件当事者/中塚成樹さん[75])
「歴史を皆さん勉強してもらって。高松でこんな大きな事件があったということだけでも学校の中で啓発してくれたら、それが延々とつながっていくんではないかと思う」
遺族らは事件の風化を防ぐため、事件からちょうど100年となる2024年11月下旬から12月に記念の式典も計画しています。