25年前、姉を殺害された女性が大学で講演し、被害者遺族の立場から思いを伝えました。
講演したのは立野雅子さんです。香川大学法学部の1年生向けの授業で、約200人が耳を傾けました。立野さんは初めに、当時書いた日記を読み上げました。
(姉を殺害された/立野雅子さん)
「父親から電話があった。3時間ほど前、姉ちゃんが刺されて即死したそうだ。訳が分からん。耳がおかしいのかと思った。どうして。返してください。どうして姉ちゃんなの」
立野さんの姉は1999年、高松市で知り合いの男にナイフで刺されて死亡しました。男は、殺人などの罪で無期懲役の判決を受けました。
事件から25年―。
立野さんは「生きていて楽しいことはたくさんあっても、自分が生きていて良かったと思うことは一度もなかった」と振り返りました。
(立野雅子さん)
「腰も曲がり、歩きもゆっくりで70代には到底見えず80代のような母を見て、ストレスはこんなにも人を変えてしまうのだと思いました。何度も何度もあの事件がなければとまた悔しくなりました。そして、自分が生き残ってしまったことへの罪悪感が押し寄せてきました」
立野さんは今も苦しみや悲しみを抱えています。大切な家族を失った経験を踏まえて、学生へメッセージを送りました。
(立野雅子さん)
「最後に姉のことで一個だけ良かったと思うことがあります。それは姉とけんかをしたままいなくなったわけではないということです。震災や事故もそうですが、いつ突然そうなるか分からない。皆さんもこれから本当に苦しいこともあるかもしれませんけど、自分がいなくなったら残された人が本当に苦しむんだということを思って、つらければ逃げていいと思いますし、頑張って、楽しんで人生生きていってほしい」
(参加した学生)
「傷は一生癒えないというのが印象に残っていて、被害者(遺族)の気持ちの奥深くまでは想像できないかもしれないんですけど、気持ちが軽くなるんだったら、話を聞いてあげられるような人になれたらいいなと思いました」