岡山大学大学院環境生命自然科学研究科・器官再構築研究室の大学院生、大蘆彩夏さんらの研究グループは、肌の張りや弾力に寄与する成分「コラーゲン」の生成過程をウーパールーパーの皮膚を使って調べたところ、表皮細胞(ケラチノサイト)が主要な供給源であることが分かったと発表しました。
研究成果は日本時間の24日午後7時、「Nature Communications」に掲載されました。
研究グループは、コラーゲンがどんなプロセスで形成されるか確かめるため、皮膚の透明度が高いウーパールーパーの真皮コラーゲン層を調べました。そして幼若な時期のウーパールーパーのコラーゲン層には繊維芽細胞が存在しないことから、別の細胞がコラーゲンを供給している可能性が示唆されました。さらに新生コラーゲンがどの方向から生じているかを、蛍光色で判別する「パルスチェイス標識法」などを用いて調べたところ、表皮細胞側から真皮側にコラーゲンが供給されていることを突き止めたということです。
また、これまでコラーゲンの主要な供給源と考えられていた皮膚の繊維芽細胞は、表皮細胞から編み出された繊維を補強する役割を担っていることが分かりました。
研究グループは、魚、ニワトリ、マウスも同じメカニズムで皮膚コラーゲンを作る可能性が高いことも確認したということです。
これまでコラーゲンは、真皮にある繊維芽細胞のみが作るものと考えられていたため、美容や医療分野におけるコラーゲン研究が大きくシフトする可能性があるということです。
岡山大学・学術研究院環境生命自然科学学域の佐藤伸教授は「表皮ケラチノサイトが作るコラーゲン繊維が本質的な皮膚コラーゲン繊維であり、今後の製品開発の方向性を大きく変える可能性がある」としています。