岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理)の髙村浩由准教授と兵庫県立大学などの研究グループは、独自に合成した「ザイレミン」という有機化合物が、フジツボが船底などに付着するのを阻害する効果を持つことを発見しました。
研究成果は2月7日に「Chemistry & Biodiversity」のオンライン版に掲載されました。
フジツボは、生まれたあと海を漂い、「キプリス幼生」の時期に船底や発電所の海水パイプラインなどに付着し、脱皮して小さなフジツボになります。いったん付着すると、一生その場所で生息します。その結果、船のスピードが遅くなったり、パイプラインの熱交換システムの効率が悪くなったりします。
フジツボの付着を妨げる阻害剤はこれまでにもありましたが、生物に対して毒性があることから、環境にやさしい阻害剤の開発が求められていました。
研究グループは、化学合成した有機化合物「ザイレミン」などを様々な濃度で試し、96時間後の付着数と死亡数をカウントしました。その結果、付着を50%阻害できる特定濃度を突き止めました。この阻害剤は、最も高い濃度でも毒性はなかったということです。
髙村准教授は「今後、防汚塗料の開発に取り組み、生物付着の問題解決に貢献したい」と話しています。