高松市の新屋島水族館は施設の老朽化によるリニューアルのため、6日の営業を最後に約2年間の一時休館に入りました。休館前最後の一日に密着しました。
オープン1時間前、飼育員たちが休館前最後の日の開館準備をしていました。
(飼育員は―)
「(Q.きょうがラストだという実感は?)全然ないです。ねえ」
「ないね!笑」
生き物の健康状態を確認していた別の職員も―
(飼育員は―)
「いつも通りの感じですけど頑張ります!」
いつも通り準備を進める中、入口には、すでに何組かのお客さんが開館を心待ちにしていました。普段は開館前に列ができることはあまりないそうです。
そして、午前9時、開館。一時休館前最後の営業が始まりました。
(倉敷市から)
「やっぱり寂しい。この子たち(孫)のお父さんを連れて2回来たことがある」
イルカの水槽を眺める家族は―
(高松市から)
「毎週来ています。子どもがイルカが大好きなので」
「ジャンプするところとかヒレがきれいなところが好き。昔の写真とかで2年間待つ」
高松市の新屋島水族館は、1969年、「屋島山上水族館」という名前でオープン。いまの名前に変わったのは2006年。多くの人に愛される屋島を代表する観光スポットです。
10年間イルカのライブを担当している「世直し侍」。新屋島水族館を代表する人気者です。
午後1時。マナティーの水槽の前にやってきた世直し侍。ここで開かれたのがサイン会です。前日に急きょ決まったにもかかわらず、100人以上が列を作りました。
女性「あの、あの、2年前新卒で高松に来て、初めてここに来た時にめちゃめちゃ感動して、その時からずっと大好きなんです。本当にお兄さんに会いに来たくて、来たけどおらん時があって、会いたかったのに……」
世直し侍「受け止めきれませーん!」
女性「気合い入れて頑張ります! ありがとうございます! あぁ~~~(大泣き)」
(サインをもらった女性は―)
「いつもいつも楽しみに見ていたので、きょうで会えなくなると思っていなくて、でもしゃべれたんで良かった」
午後3時すぎ。人気者の休館前最後のイルカライブには多くの人が集まります。
(訪れた人)
「以前トレーナーをしていました。最後なのでこの姿を見ておきたいなと思ってきました」
舞台裏では世直し侍が準備をしています。
(世直し侍)
「長いこと続けてきて、ものすごい感慨深いです。ただ、それを押し殺すのに必死です。いつも通りいきます」
(職員)
「皆さんそれでは大変長らくお待たせいたしました。イルカライブのスタートです。最後までごゆっくりお楽しみください」
(世直し侍)
「ちょっと待った~。ちょっと待ったと言っているのが聞こえぬのか。1つ、人の世の生き血をすすり……」
いつも通りの姿でお客さんを楽しませます。その舞台がいつまでも続くかのように。
(観客)
「全部の愛を注ごうと思って見ました。ここ(新屋島水族館)のことを知ってよかったなと思っています」
(世直し侍)
「常連さんたちもみんなで作り上げる楽しい時間、うち(新屋島水族館)らしいイルカライブができたかなと思いました。100点満点でいいですか? じゃあ200点で」
そして迎えた閉館時間。飼育員全員が正面玄関に集まりました。
(新屋島水族館/櫻井俊行 館長)
「皆さんの思い出がたくさん詰まったこの場所、そして私たちや先人も思い出がたくさん詰まった場所です。その場所がなくなるのは本当にさみしいですが、2年後ぜひ皆さん来ていただいてリニューアルした姿。そしてリニューアルした姿を『なんか懐かしいな』と思ってもらえるような建物にしていきたいと思います。皆さま本当にきょうはありがとうございました」
新屋島水族館は、休館期間中、高松市中央卸売市場の旧青果棟で、ペンギンやカワウソなどを見ることができる「市場水族館」を開く予定です。ゴールデンウィーク前のオープンを目指しているということです。