岡山・香川の話題のものやスポットを紹介する「いまココ!ナビ」です。まだまだ残暑は続いていますが、暦の上ではもう秋ということで、香川から「読書の秋」を楽しめるスポットをご紹介します。
読書オタクの店長が提供する「本との出合い」
最初に向かったのは高松市にあるブックカフェ「珈琲と本と音楽 半空」です。店内に入ると薄暗い空間を電球が照らし、どこか懐かしい気持ちに。
そして何より目が行くのは大量の本。本棚に収まりきらず積まれた本もあり、その数3000冊以上です。
本を集めたのは自称読書オタクの店長、岡田陽介さん。本への愛はこんなところにも……
(記者)
「メニューを見ると作家さんの名前が付いたメニューがたくさんあるなと思うんですけど……」
(珈琲と本と音楽 半空/岡田陽介 店長)
「そうなんですよ。僕がすごく本が好きなので本読んでて『これ食べたいな』とか『これ本当においしいのかな?』みたいなやつを自分で作ってみて、おいしかったり期待を裏切られたらメニューに書いているってことなんです」
「伊丹十三の愛したキューカンバーサンド」(700円)。映画監督として多くの作品を世界に送り出した伊丹十三のエッセイ集「女たちよ」の中で実際に出てくる一品です。
本の中では「これは実にけちくさく、粗末な食べ物(でありながら妙においしいところがある)」とされていますが……
(記者リポート)
「キュウリが何枚も重なって薄く……繊細ですね。キュウリがぱりぱりって! 意外と食パンと合うんですね! これ読んだ後に食べるので本物だってなりますね」
「開高健が愛したダームブランシュ」(1300円)。「地球はグラスのふちを回る」という作品に出てくるデザートを再現した一品です。冷たいアイスクリームにあっつあつのチョコレートをかけました。
作品中では「驚愕する」とまで表現されたチョコレートを体験してもらいたいと、試作を何度も繰り返したそうです。
メニューをさらにめくっていくと本の抜粋が。マスターが「この空間で読むのがぴったり」と思う部分をぬきだしているそうです。
ほかにも、題名の見えない本や独自の文学賞を開催するなど、本といろんな出合い方を提供しています。
つながりが生まれる「シェア型の書店」
次に見つけたのは丸亀市にある小さな本屋。その名も「城南書店街」。窓から柔らかい日が差すこの空間に、は正方形で区切られた本棚があります。
(記者リポート)
「ここには香川県にゆかりのある人たちが本を並べて販売しています。例えばここはうどん屋さん、隣はVtuber、そして子育て中のお母さん。さまざまな人がここで小さな本屋を開いています」
そう、ここは誰でも書店を開けるシェア型の書店なんです。開いたのは丸亀市出身の藤田一輝さん。店を始めて1年が経ちました。
(城南書店街 オーナー/藤田一輝さん)
「うれしい。本当に地域の関わっているいろんな方がこんな本を推しているんだっていうのも面白いし、さまざまな出会いが発生しているかなと」
ここでは本を販売する店長たちを「ショーテンシュ」と呼びます。ショーテンシュたちは本を並べておけるだけでなく、店番もすることができます。
(城南書店街 オーナー/藤田一輝さん)
「店番をしているショーテンシュと補充しに来たショーテンシュの交流が生まれたり、色んな輪が広がっている」
この日の店番は『雨やどり本屋』のあやさん。
(雨やどり本屋/あやさん)
「他の人にも読んでほしいなと思う本を中心に置いているんですけど、保健師で介護保険関連の仕事が結構長かったのでその関連の本とか……」
月に1回、店番をしているあやさんにとってこの場所は?
(雨やどり本屋/あやさん)
「居場所ですね、本当の居場所。お店番してたら(他の)ショーテンシュさんが来てくれるのでお話して交流できるし、買いに来てくれる人もお話しするの楽しいし」
この日も他のショーテンシュが訪れ、新たなつながりが生まれていました。
この空間でつながるのはショーテンシュ同士だけではありません。
(記者リポート)
「ここにある本にはすべて栞が付いています。栞を見るとショーテンシュから感想やメッセージが書いてあります」
買った人はここに返事を書いてショーテンシュに渡すこともできます。
(城南書店街 オーナー/藤田一輝さん)
「本をきっかけに色んな人がつながっていったらいいなと」
「城南書店街」の営業日は毎週、金・土・日の3日間。本を販売できるショーテンシュは随時募集しています。(問い合わせ:Instagram @jonansyotengai_)
2025年の秋はいろんな本に、いろんな人に出あえる場所で読書の秋を楽しみませんか?
(2025年9月19日放送「News Park KSB」より)