暮らしに密着した経済の話題を取り上げる「暮らし×経済」です。今回は「お菓子」についてお伝えします。物価が高騰する中、駄菓子店では売り上げが増えています。
プチ贅沢?駄菓子売り上げ好調
瀬戸内市にある「日本一のだがし売り場」。大人も子どもも楽しめる「駄菓子のテーマパーク」を目指して、食品卸を本業にしていた「大町」が開業し、2025年で10周年を迎えました。
(日本一のだがし売り場を運営「大町」/秋山創一朗 社長)
「お菓子だけで約3000種類、雑貨やおもちゃを入れると全部で5000種類。今行楽シーズンでバスのお客さんも来てくださったりとか」
物価高騰の影響で駄菓子の価格も一部上がりましたが、2025年10月の売り上げは2024年と比べて1割アップと好調です。物価高にもかかわらずお菓子を買う動きは鈍くなっていないようです。
その背景には「節約疲れ」も関係しているというデータもあります。
生活満足度などを調べる研究所が約7700人を対象にしたアンケート調査によると、物価高騰による「節約疲れを感じている」と答えた人は全体の6割を超えました。その節約疲れの解消法として4割を超える人の回答が「プチぜい沢」でした。
そのプチ贅沢の中で「スイーツ・お菓子を食べる」が6割を超えています。
(買い物客は―)
「お菓子は我慢できないです。(Q.支出額としてはどう?)お菓子とかこういうものは変わらず買いますね。疲れたときとか仕事の一段落ついたときに食べている感じですかね」
「めちゃくちゃ買いました。毎日食べるおコメはすごい価格が上がってるんで(物価高騰は)家庭に影響している。1個当たりの価格が安いので1日2~3個(食べるの)だったら助かるなって感じ」
「懐かしいのもあれば見たことないのもあって楽しい。箱買いできるんでここだと。それ目当てです。コスパが良くて大人買い」
「1万円ぐらい買うって張り切ってるんですけど、(おやつ)減らすのはきついかなと思うんで安いものを探して買う」
この店では子どもたちに「買う」という体験を楽しんでもらおうとある工夫も。
(松木梨菜リポート)
「販売されている駄菓子にはこのようにすべて値札のシールが貼られているんです」
(日本一のだがし売り場を運営「大町」/秋山創一朗 社長)
「基本的には10円単位。それも税込み表示で、子どもたちがおこづかいを持ってきて自分で計算できるって体験をここはずっとやっています。めちゃくちゃ手間なんですけれども絶対に変えない部分。子どもの笑顔をどう作り出せるような空間にしていくのかどう喜んでもらえるのかをうちはやっています」
また商品ごとに多くの量を並べ、大人にも選ぶ楽しみを提供しています。
(日本一のだがし売り場を運営「大町」/秋山創一朗 社長)
「商品を売るだけだったら来てもらう価値がないなと思っているので、選ぶ楽しさや懐かしさを楽しんでもらったりとか」
市場は倍に…キダルト消費とは?
物価高騰の影響を受ける中、家計をやりくりして「お菓子」を買っているようです。この「お菓子」の中でも注目されている言葉があります。
それが「キダルト消費」です。これはキッド(Kid)とアダルト(Adult)の造語で、大人が子どもの頃に好きだった商品やコンテンツを楽しむ消費スタイルのことです。
近年「キダルト消費」が大幅に伸びているというデータもあります。
おもちゃにお菓子が入っている「玩具菓子」と遊びながら作れるお菓子、いわゆる「知育菓子」市場では、100人当たりの購入が2024年は2018年と比べて約2倍に伸びています。
「平成女児買い」で人気
こうした「キダルト消費」は、2025年の新語・流行語大賞にノミネートされた「平成女児」もけん引しているようです。
(日本一のだがし売り場を運営「大町」/秋山創一朗 社長)
「こちらが知育菓子になりますね。コロナ禍から種類が増えていったような巣ごもり需要のところから人気も出てきて(売り場は)倍ぐらいになってるかもしれないですね。売り場を2倍にしたということは売り上げも2倍になっていると思います」
「日本一のだがし売り場」でも「知育につながる菓子」と「玩具菓子」の売り上げはこの5年ほどで倍になっています。
中でも特に人気なのが「ほねほねザウルス」です。恐竜をテーマにしたプラキットが入っていて、遊びながら楽しめるお菓子です。他にも……
(日本一のだがし売り場を運営「大町」/秋山創一朗 社長)
「大人の方も最近は懐かしいって買ったりとか、パッケージもかわいいので子どもがメインで買うんですけど、30代、40代ぐらいの女性も懐かしいなって買ってくださったりします」
2024年、発売45周年を迎えた「セボンスター」です。懐かしさを感じさせる箱の中には宝石のようなキラキラしたネックレスが。20種類のネックレスがあり、どれが当たるかは開けてのお楽しみです。
製造販売する「カバヤ食品」によると、1990年代後半から2000年代初めごろに小中学生だった女性が購入する「平成女児売れ」もけん引し、2025年4月から10月までの売り上げは前の年の倍になったということです。
(カバヤ食品 広報部/秋山静音さん)
「子ども向けであるというのをぶらさないことで、子どもの頃のわくわくや憧れ(心)をくすぐることにつながっていってくれればうれしいと考えています」
今やSNSでの情報発信で「つながり」を意識できるため、「懐かしさ」を共有できるキダルト消費がより活発になったと考えられます。
財布のひもが固くなっていると言われる中でもキダルト消費は今後も市場が拡大するかもしれません。
(2025年12月10日放送「News Park KSB」より)