建築家・丹下健三が設計した旧香川県立体育館を巡り、民間団体が県を相手取って解体費用の支出差し止めを求めた裁判です。建物の現在の耐震性などを鑑定するため、原告側が「証拠保全」の手続きを申し立てる方針であることが分かりました。
8日、高松地裁の裁判官と原告、被告それぞれの代理人らで非公開の進行協議が行われ、第1回口頭弁論が3月10日に開かれることが決まりました。
この裁判は、建築家らで作る「旧香川県立体育館再生委員会」の長田慶太委員長が2025年11月、香川県を相手取って起こしたものです。
訴えによりますと、2025年7月に再生委員会が提案した民間資金での再生案について十分な協議や検討を行わないまま解体工事に多額の公金を支出するのは違法などとして支出の差し止めを求めています。
一方、香川県は2025年12月11日、県議会の承認を得て、解体工事の請負契約を8億4700万円で業者と結びました。裁判は「時間との闘い」の様相を呈しています。
8日の進行協議で被告の香川県側は、解体の着工時期は「未定」とした上で、裁判の手続きによって解体を遅らせることは考えていないと強調したということです。
一方、原告側は建物の現在の耐震性などの鑑定を行うため、裁判所に証拠保全の手続きを近く申し立てることを明らかにしました。
香川県や県教委は解体の理由として、2012年に行った耐震診断結果をもとに「倒壊の危険があり、安全確保を急ぐ必要性」を挙げています。
一方、再生委員会は複数の専門家の意見をもとに「大地震でも建物全体が倒壊する危険は想定されない」と主張しています。
原告側は2012年以降、耐震診断が行われていないため、現在のコンクリートなどの劣化状況を明らかにするとともに立体解析モデルを使って耐震強度を診断し、本当に倒壊する危険があるのか明らかにしたい考えです。
証拠保全が認められれば鑑定中、解体工事がストップすることになりますが、裁判所が必要性をどう判断するかは不透明です。
(旧香川県立体育館再生委員会/長田慶太 委員長)
「(旧県立体育館が)残すべきものだけじゃなくて、残せるものなんだということをちゃんと表現できればなと。難しいことへのチャレンジなのは分かりつつも、やれることの一手としてやるしかないという状態ではあるんだと思います」