世界的な建築家、丹下健三が設計した旧香川県立体育館の再生を目指す民間団体が、県を相手取って解体工事への公金の支出差し止めを求める訴えを起こしました。
高松市の建築家で、旧香川県立体育館再生委員会の長田慶太委員長が26日付で訴状を高松地裁に送りました。
訴状によりますと、2025年7月に再生委員会が提案した民間資金での再生案について十分な協議、検討を行わないまま解体工事に約8.5億円の公金を支出するのは違法などとして支出差し止めを求めています。
また建物の耐震性についての香川県の認識は誤っているとし、「今になって倒壊の危険を強調するのは解体を強行するための方便」だと主張しました。
1998年の耐震診断から解体決定まで20年以上放置していたことや、現在も建物の下を県立武道館の駐車場として開放し続けていることは不合理だと指摘しました。
香川県監査委員は5日、再生委員会の長田委員長が行った住民監査請求を「解体の判断が著しく妥当性を欠いているとは言えない」などとして棄却。一方で危険性に対する県の説明には「一貫性に欠ける面がある」と指摘していました。
提訴について香川県教育委員会は「訴状がまだ届いておらず、訴えの内容が分からずコメントしかねる」としています。
香川県は11月定例県議会に解体工事の請負契約に承認を求める議案を提案しています。
香川県議会の立憲・市民派ネットと共産党の議員4人は28日、「後世に悔いを残さないため十分な議論を行うべきだ」とし、12月2日に予定されている文教厚生委員会に再生委員会のメンバーらを参考人として招致するよう議長と文教厚生委員長に要請しました。