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旧香川県立体育館解体へ 「建築文化への姿勢がちぐはぐ」専門家が批判 新アリーナに世界的建築賞のタイミングで…

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 建築家・丹下健三が設計した旧香川県立体育館の解体に向け、県は11日、業者と工事の契約を結びました。民間資金での再生の提案を協議せずに解体に突き進んだ県の姿勢を専門家は批判しています。

(神奈川大学 建築学部/松隈洋 教授)
「県の建築文化に対する姿勢が非常にちぐはぐだなっていう印象ですよね。新しいアリーナが世界的な賞を受賞した絶好のタイミングじゃないですか。すごいもったいない」

 こう話すのは近代建築の保存に詳しい神奈川大学の松隈洋教授です。2025年2月に開館した香川県立アリーナの設計業者を選ぶ評価委員長も務めました。

 香川県立アリーナ「あなぶきアリーナ香川」は、12月、世界の優れた建築物などを表彰するユネスコの「ベルサイユ賞」のアリーナ部門で最優秀賞を受賞しました。

 松隈さんはこれまで県立アリーナと旧県立体育館を何らかの形で併存させる可能性を探るべきだと訴えていました。

(神奈川大学 建築学部/松隈洋 教授[6月の講演会])
「新アリーナができたことによって、もしかしたら旧体育館の丹下さんが残した仕事の意味が誰でも分かるような状態に今なってるんですよね」

 松隈さんは全国の近代建築では住民の声で解体の決定が撤回された例もあるとして「議論を続けることが大切だ」と話します。

(神奈川大学 建築学部/松隈洋 教授)
「大きな声を上げていかないといけない問題だと思いますよ。そうしないと、僕は戦後の建築の文化が残らなくなっちゃうと思いますよ。私たちの時代で何を残せたんですかね…そんなことになりかねない」

(香川県/池田豊人 知事)
「保存を望む声というのは県民にもございますし、海外からもそういう声が届いている。これは受け止めております」

 香川県の池田知事は15日の定例会見で、安全確保のための旧県立体育館の解体に改めて理解を求めるとともに、「今後は文化的価値がある建物をできる限り残していく努力が必要だ」と述べました。

(香川県/池田豊人 知事)
「保存あるいは記録の保存、県民、国内外への価値の伝承、こういったものをしっかりと。たくさんのいいものがある県だからこそ進めてまいりたい」

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