香川県が解体に向けた手続きを進めている旧県立体育館。建物の価値を後世に伝える記録保存の具体的な方法について教育長が2日、県議会に説明しました。
香川県は、建築家・丹下健三が設計した旧県立体育館の解体工事の請負契約を8億4700万円で高松市の合田工務店と結ぶための議案を議会に提案しています。
民間資金での再生を提案している旧香川県立体育館再生委員会は、11月、解体工事費の支出差し止めを求める訴えを高松地裁に起こしました。
2日の県議会文教厚生委員会で淀谷教育長は、法律的には住民訴訟によってただちに工事の手続きに影響があるわけではないと説明し、「弁護士とも相談の上、訴状を精査して必要な主張を行っていく」と述べました。
文教厚生委員会に所属しない議員4人が再生委員会のメンバーらを参考人として招致し、議論を尽くすよう要請していましたが、採決の結果、賛成はおらず呼ばないことに決まりました。
(自民党香川県政会/氏家孝志 議員)
「この委員会としても説明責任は十分に果たされているというふうに判断したのかなと。粛々と事業を進めていただきたいと強く要望をしておきたい」
(香川県教育委員会/淀谷圭三郎 教育長)
「一定数の保存を求める声があるわけでございますから、旧県立体育館の文化的価値を後世に伝えていけるように記録保存については丁寧に進めていきたい」
淀谷教育長は、記録保存事業について、解体前の建物の写真や動画撮影などを行っていることに加え、今後、建物の評価について研究機関に調査を委託することや、特徴的な「つりケーブル」や椅子などの現物保存、3D測量データをもとにバーチャル空間で建物を再現して外観や内部を360度見られるようにすること、模型を制作することなどを検討する方針を明らかにしました。