徳島文理大学神経科学研究所と東北大学の研究グループは14日、プラスチック原料などとして知られる化学物質のビスフェノールAなどの影響が、記憶に関わる脳の「海馬」のどこに現れるか調べた成果について発表しました。脳の膜電位の変化を測定できる色素を用いてピクセル単位のマップを生成し、脳の反応を可視化できるようにして比較したところ、一部で神経回路の応答低下を確認したということです。
研究成果は、北米神経科学会のオープンアクセス誌「eNeuro」において9月30日に公開されました。
研究グループは、2週齢(幼若期)と8週齢(若齢生体)のオスのマウスから作成した海馬スライスに、ビスフェノールAと、それに構造がよく似た2つの関連化合物(4,4'-ブチリデンビスと2,2'-メチレンビス)を作用させ、神経回路への急性作用を比較しました。電気刺激による平均応答は、8週齢のマウスは海馬の「CA1」という領域で2つの関連化合物による応答の低下が確認され、2週齢のマウスではそのうち1つの化合物で変化が認められたということです。
研究結果は、BPAと化学構造が似た化合物でも神経回路への作用が異なることを示しており、研究グループは、それぞれの化合物について個別に作用を評価する必要性があると指摘しています。ただし、今回の結果はマウスから取り出した海馬組織を用いた実験によるものであり、ヒトへの健康影響を直接示すものではないとしています。
ビスフェノールA(BPA)は、健康への影響が懸念され、EUでは2025年1月に食品接触材料への使用を原則禁止する規則が発効しました。規制を背景に、BPAに代わる化合物の開発や利用が模索されていますが、代替物質については、特に中枢神経系の機能に及ぼす影響が十分に解明されていないということです。