岡山大学学術研究院先鋭研究領域の三澤弘明特任教授は3月11日、中国・東南大学と北京大学との国際共同研究で、鏡像異性体と呼ばれる分子の左右の違いを見分ける“キラル光”を、分子サイズの1点に作り、超高速に反転できることを実証したと発表しました。
分子の左右の違い(キラリティ)の検出は、医薬・材料・生命科学の研究において重要な役割を担うことから、識別をより精密に行うための基盤技術として注目されます。研究成果は2026年2月28日、米国化学会の学術誌「ACS Nano」にオンライン掲載されました。
研究グループは、“ナノアンテナ”と呼ばれる単一の金ナノアンテナ構造を用い、円偏光のレーザーを短時間照射しました。円偏光の向きによって左右を見分ける光の性質が局所に現れることが分かり、実験によって局在光が超高速で反転することを示しました。
三澤教授は「キラル分子をより高度に調べる技術や、超小型、超高速に動作する光スイッチなどへつなげていきたい」と話しています。
キラル分子の“右”と“左”は多くの性質は似ていますが、光を通す性質などが異なります。キラリティの違いによって効能が変化した例として、サリドマイド事件がよく知られていて、キラリティーを高感度に検出することは非常に重要とされています。