パレスチナ自治区ガザの停戦と人質解放を巡る、イスラエルとイスラム組織ハマスによる6週間の停戦合意は、1月19日午後3時半に発効する予定だったが、予定時間を過ぎても始まらず、イスラエル軍が攻撃を開始した。イスラエル軍報道官によると、ハマスが解放する人質リストを提出しないとして、「停戦を発効しない」と述べた。また、イスラエル軍は「テロの標的」を対象に、作戦を継続していることを明らかにした。しかし、イスラエル首相府は19日日本時間の午後6時15分にガザ地区の停戦が発効すると発表した。中東の複数の現地メディアも、「停戦が発効した」と伝えていて、戦闘は確認されていない。
停戦合意が発効すれば、第1段階として、ハマスは人質33人を解放する。その引き換えに、イスラエル側は収監しているパレスチナ人の解放を行う予定であった。援助物資を運ぶトラック600台が毎日、ガザ地区に入ることが許可される。第2段階では、ハマスがイスラエル兵士の人質解放、イスラエル軍の全面撤退。最終段階の第3段階では、ガザの復興を進める。ガザの停戦交渉の背景を詳細に知るイスラム組織ハマスの高官が、ANNの取材に応じ、トランプ次期米大統領の圧力が大きかったことを明らかにした。ハマス高官のマフムード・マルダウィ氏は、「ネタニヤフ首相は次期トランプ政権と衝突したくなかったし、怒りを買うのを避けたかったというのが現実だ」と指摘したうえで、イスラエルが合意した要因について、「トランプ氏が、直接介入して同意するよう圧力をかけたためだ」と説明した。
トランプ次期米大統領とJ.D.バンス次期副大統領の就任に伴う祝賀行事が、18日から4日間の日程で始まった。初日は最初のイベントとして、自身が所有するゴルフクラブで、花火の打ち上げが行われた。19日には、トランプ氏は、東部バージニア州のアーリントン国立墓地を訪問し、無名戦士の墓に献花、そのあと、首都ワシントンで行われる「MAGA(Make America Great Again)勝利集会」に参加する。20日は、セントジョーンズ教会で礼拝に出席した後、連邦議会議事堂で行われる大統領就任の宣誓式に臨む。20日はワシントンで氷点下10度前後まで冷え込むことが予想されていることから、トランプ氏は、宣誓式および就任演説を連邦議会議事堂内で行うと明らかにした。最終日の21日には、国家祈祷会が行われ、4日間の公式行事が終了する。就任式の実行委員会によると、関連行事の運営費として、過去最高の1億7000万ドル(約265億円)以上の寄付が集まった。最終的には、寄付額の総計は2億ドル(約310億円)に上回る勢いとされている。
就任式には、米自動車大手「テスラ」の最高経営責任者で、トランプ氏の側近であるイーロン・マスク氏、また、「グーグル」CEOのサンダー・ピチャイ氏、「アマゾン」創業者のジェフ・ベゾス氏、SNS「フェースブック」を運営する「メタ」のマーク・ザッカーバーグ氏、「アップル」のティム・クック氏、中国系の動画投稿アプリ「TikTok」のショウ・チュウ氏が列席すると見られている。第2次トランプ政権を支えるマスク氏は、欧州の政治家を相次いで批判、また、特定の政党への支持を表明するなど、事実上の政治介入を展開していることが物議を醸している。2月23日に総選挙を控えるドイツに対しては、ショルツ首相を批判する一方で、「反移民」を掲げる極右政党「AfD」の共同代表と対談し、支持を表明した。また、マスク氏は、労働党政権のスターマー英首相が検事総長時代に、児童の性的虐待事件への対応が不十分だったと批判。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、「マスク氏が首相退陣を画策」と報じた。一連の報道を受けて、欧州の公共機関は、「X」の利用中止や退会を表明した。
「初日だけ独裁者になる」と公言し、政権運営に意欲を燃やすトランプ氏は就任初日の20日に、約100件に及ぶ大統領令に署名するとも言われている。大統領が連邦議会の承認を得ずに、政府に対して行政命令を出すことが可能な権限を大統領令という。初日の大統領令は、移民・関税・環境関連など幅広く、国内外の政策が対象となると報じられている。移民関連では、メキシコ国境から押し寄せる不法移民を送還する措置の復活。関税関連では、中国からの輸入品に一律60%、カナダとメキシコから輸入品には25%、その他の国・地域には一律10%の関税を課すのかが焦点だ。
★ゲスト:ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト)、前嶋和弘(上智大学教授) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)