10日は北陸で「真夏日」を記録する一方、午前中は広い範囲で雨が。この時期、注意が必要なのが、メイストーム「5月の嵐」、中でも警戒が必要なのが「雹(ひょう)」です。(5月10日OA「サタデーステーション」)
■ひと足早い夏の訪れ…“関東一早い”花火大会
報告・仁科健吾アナウンサー(10日 栃木県佐野市) 「午後7時過ぎです。今、大きな花火が打ちあがりました。5月の夜空をキレイに彩っています」
10日、関東でひと足早く「夏の訪れ」が…栃木県佐野市で開催された“関東一早い”と謳う花火大会。およそ1万発の花火が夜空を彩ります。
花火を見にきた男性 「何とか(天気が)持ちこたえてくれて雨がやんでくれて本当にうれしいです」
■富山30℃超、今年初の真夏日に…来週も夏日続出の見込み
10日は午後に雨雲が過ぎ去り、日差しと共に気温が上昇しました。全国で最も暑かったのは富山県。最高気温は30℃を超え、今年初の真夏日に…
報告・畑中彩里ディレクター(10日 甲府市) 「午後2時半すぎの甲府駅前です。先ほどから強い日差しが差し込んできました」
アイスで涼をとる人もいました。
地元住民 「ここ2、3日は肌寒さを感じたけどきょうは蒸し暑さがある感じ」
来週は全国的に気温が上がり、25℃以上の夏日が続出する見込みです。
■母の日のカーネーション 去年の猛暑で開花が2カ月遅れ
サタデーステーションが向かったのは神奈川県にある園芸店。5月11日は「母の日」ということでカーネーションが出荷のピークを迎えていました。
カーネーションを買いに来た子ども 「お母さんのためにカーネーションを買いました。おばあちゃんに協力してもらってブーケにします」
カーネーションを買いに来た子ども 「これがいい(カーネーションは)ばぁばのためにいつもありがとうって…」
実は、このカーネーション、去年の記録的な暑さで影響を受けました。
今井園芸 今井勲さん 「普通の夏よりももっと暑かったよね。晴れが続いたからそれに(花が)耐えられなかったのかなと思っています」
例年10月ごろに花が咲き始めますが、去年の暑さで苗が十分に育たず、花が咲き始めたのは2カ月遅れの12月ごろ。そこで普段よりも多く苗に水を撒き続けたことで、なんとか収穫時期に間に合ったそうです。
■5月の嵐「メイストーム」被害増加
報告・仁科健吾アナウンサー 「午前6時半過ぎの桜木町駅前です。細かい雨が強くパチパチと打ち付けてきました。それに伴って風も出てきました。木々を見ても小刻みに揺れているのが確認できます」
報告・畑中彩里ディレクター 「午前5時半過ぎの東名高速道路・厚木インター付近です。先ほどから強い雨が降り続けており、車が水しぶきをあげて走っていきます」
10日は、台風並みの5月の嵐「メイストーム」が日本列島を通過。沖縄県では大雨洪水警報が出され、冠水してしまった場所もありました。長崎では、24時間雨量が5月の記録を更新した地点も出ています。東京では、わずか30分の間にあたり一面が真っ白になりました。
森口哲夫 気象予報士 「台風は中心付近が一番暴風となりますが、メイストームは広い範囲で強い風が吹くのが特徴です。近年の気候変動によって、メイストームもより発達しやすくなっている」
静岡県牧之原市では、4年前の5月、「メイストーム」が引き金となって、竜巻とみられる、推定65メートルの突風が吹き、住宅など、148棟に被害が出ました。江戸時代後期に創業した、しょうゆ会社では、5つの蔵のうち3つが全壊し、2つが半壊しました。
ハチマル 鈴木義丸社長 「倒壊した時に中にいたら、生きているかどうかわからないなと」
また、「メイストーム」は、河川の急な増水や鉄砲水を引き起こす原因にもなります。神奈川県山北町の川沿いにあるキャンプ場は、対応に追われていました。
西丹沢 大滝キャンプ場 湯川直穂さん 「ちょっとの雨でも増水することは多い。雨が結構降っちゃうと土砂崩れもあって、きのう時点でキャンセルのお願いをする電話をさせていただいた。そこは売り上げよりもお客さまのことを考えて決断している」
■予測難しい雹による被害も深刻化
実は、この時期に特に注意が必要なのが、雹(ひょう)による被害です。
森口哲夫 気象予報士 「この時期、日差しが強まってきて地上の気温は上がります。一方、上空にはまだ度々寒気が流れ込んできます。この大きな気温差によって、強い上昇気流が発生して、雹を作りやすくなるのがこの時期です」
雹は予測が難しい一方で、その被害は深刻化しています。海外では、雹の直撃による死亡例も。雹が野球ボールほどの大きさ、7センチになると、落下速度は時速140キロにもなります。つまり、空から地面へ剛速球が次々と投げつけられているような状況です。雹の大きさが5センチでも、落下速度は時速115キロ、1センチでも時速50キロになります。日本でも、ゴルフボール大の雹が降ることは珍しくなくなってきていて、雹による自動車保険の事故受付件数も急増。2020年には年間350件ほどでしたが、この3年間は1万5000件前後になっています。群馬県では、2022年の5月から6月にかけて、2回の雹が降っただけで、農作物などに17億円以上の被害が出ました。こうした状況を受け、国内初となる雹の予測サービスも始まりました。
東芝 木田智史 工学博士 「雹の予測を事前にしてあげることで、少しでも多くの人が避難できるような形で情報を提供できないかと」
国交省の気象レーダが観測したデータを独自の技術で解析。全国の雨雲の中の粒子をリアルタイムで判別し、雹がどこに降るのか、30分前に予測が可能になったといいます。
東芝 木田智史 工学博士 「精度としてはかなり確実性が高く、100%に近いと思っている」
保険会社と連携し、ドライブレコーダーから警告を行うサービスも先月から始まりました。
■「黒潮大蛇行」が終息?暑さに影響も
こうした中、9日に気象庁が“気になる海の兆候”を発表しました。大きく蛇行していた黒潮が、7年9か月ぶりに終息の兆しを見せています。
森口哲夫 気象予報士 「これまで大蛇行によって、特に東海や関東地方に南海上の暖かくて湿った空気が流れ込んできやすく、それによって猛暑になりやすい状況でした。大蛇行が収まると、この影響は小さくなると考えられます。今年の夏も猛暑が予想されていますが、去年ほどの記録的な猛暑にはならないかもしれません」
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