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「Sorryごめんなさい」雪山で外国人救助の瞬間 富士山ではまた中国人が“遭難”

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全国的に大気が不安定となり各地で荒れた天気となりました。そしてこの時期、全国で相次いでいるのが“無謀な登山”。今月17日も富士山で男性2人が遭難しているという通報が。(5月17日OA「サタデーステーション」)

■まるで梅雨 各地で激しい雨

17日、神奈川県箱根町では、傘をさすことができないほどの強い雨が降りました。静岡県では、各地で強い雨に。伊豆市では午後7時点で24時間雨量が180ミリを超えました。京都府京丹後市では、カヌーの大会が中止に。午前9時半過ぎのスタート後、天気が急変し42艇のカヌーが転覆。42人が海に投げ出されたと言います。

カヌー大会の出場者(17日 京都・京丹後市) 「船が散らばってて、人も浮かんでいる状態でどこ助けていいのか分からない状況」

出場者によると、救助を待つのに長い人で1時間ほど水中にいたと言います。6人が病院に搬送されましたが、いずれも意識はあるということです。

■雨の中の三社祭

荒れた天気をものともせず開催されたのは、江戸三大祭の一つ、三社祭です。「初夏の風物詩」とも言われ、去年は28度を超す中行われましたが、今年はずぶ濡れです。子どもたちだけで担ぐお神輿も注目の一つ。今年初めて参加する、小学一年生のけんとくんはカッパで雨対策。掛け声も準備万端です。

三社祭に参加する子どもたち 「えっさ、えっさ」

しかし、神社でお祓いを受けた後、町内を練り歩く「連合渡御」の時、強い雨あしに。3日間の開催期間中、例年は180万人の観光客を集めるお祭り。こちらの女性たちは、メインのお神輿を見に仲見世へ急ぎます。浅草を観光するために雨でも浴衣をレンタルしておめかししてきました。100基の神輿が境内を通っていきますが、女性たちの目の前には、傘。それでも「子ども神輿」は撮影することができました。

都内から三社祭を見に来た女性たち 「かわいい。でも重そう」 「気合入っているね」

■九州南部 異例の全国トップ梅雨入り

16日、全国トップで梅雨入りした九州南部では、断続的に雨が降りました。

報告・青木梨央ディレクター(17日・鹿児島市) 「午前11時を過ぎた鹿児島中央駅です。今、雨が激しく降ってきて風もとても強く吹いています」

鹿児島市では、24時間で70ミリを超える雨が降りました。市民は今、ある懸念を抱いていました。

鹿児島市民(17日・鹿児島市) 「泥が降ってくるようなものと一緒なので極力出ないほうがいいんですけど」

実は、15日から桜島の噴火や爆発が相次いでいて、火山灰の混じった雨が降っていると言います。

報告・青木梨央ディレクター(17日・鹿児島市) 「黒くなっているんですが排水溝の一帯、灰がたまってしまっています」

火山灰は拭くと傷がついてしまうそうで、車の掃除も大変だと言います。今後も心配な雨ですが、今年の梅雨はどんな特徴があるのでしょうか

森口哲夫 気象予報士 「今年は全国的に雨が多い梅雨となりそうです。太平洋高気圧は、南から湿った空気を日本に送り込んでくるポンプの役目をしています。高気圧が強いため、湿った空気も勢いよく日本列島に流れ込んでくることになります。さらに、今年は海水温が高いため、日本列島にやってくる水蒸気の量も大量にやってきます」

■またも中国人登山者が富士山で“遭難”

雨の多さによる、観光への影響が心配です。開山前から賑わいを見せる富士山の五合目に向かってみると、この天気でも多くの人が。しかし…

報告・矢谷一樹(17日・富士山吉田ルート5合目) 「強い雨と風で傘がさせる状態ではありません」

傘が壊れてしまう人が続出。それでも、外国人観光客はどうしても来たかったそうです。

アメリカからの観光客 「雨が降っているけど、それでもいいんです。なんたって日本が誇る“美”を見られるんだから」 「富士山もそうだし、本当に日本は美しい」

そうした中、17日も富士山で遭難したと通報がありました。中国人の男性がSNSに「遭難した」と投稿。それを見た第三者が警察に連絡し、救助隊7人が救助に向かっていましたが、男性は自力で下山したと言います。先月、中国人大学生が5日間で2度も遭難した、閉山期間中の富士山。中国のSNSには同じ時期に富士山に登っている映像が次々と投稿されていました。山梨県では今年のゴールデンウィーク中の山岳遭難者が去年の倍以上となる17人に。救助にあたる山岳救助隊にとって、特に負担が大きいのが、強風の時や日没後など、ヘリコプターが使えない際の救助だと言います。去年5月、富士山で低体温症になった登山者を6人がかりで救助した際には…

山梨県警察 山岳警備安全対策隊 岡部昴嗣さん 「日暮れに山岳遭難されたと通報を受け、12時間ほどかけて地上まで救助して、救急隊に引き継いだ」

世界最高峰のエベレストでは、救助作業の増加などをうけ、入山料を最高で約220万円に値上げする予定です。富士山でも今年から1人4000円が徴収される予定ですが、自治体から、救助費用の自己負担を求める声も上がり始めました。

山梨県警察 山岳警備安全対策隊 岡部昴嗣さん 「この時期の富士山は、山小屋も閉まっていますし、十分な救助体制が整っていないので、ぜひ開山してから登っていただきたい」

■雪山に“半そで短パン”のイギリス人 救助の瞬間

無謀な春山登山者は、富士山以外でも相次いでいます。13日、北海道・羊蹄山で動けなくなっていたのは、登山に訪れたイギリス人の男女。

救助隊員 「ヘリコプターに乗せます OK?」

午後6時すぎに、「寒くて動けない。避難小屋に行けない」と警察に通報があり、1時間後、救助ヘリが2人を発見しました。雪も残る、標高1700メートル付近。29歳の女性はなんと半そで。腹部も露出しています。30歳の男性はハーフパンツ。その手は震えているようにも見えます。

救助されたイギリス人男性(30) 「Sorry ゴメンナサイ」

女性は病院に運ばれましたが命に別状はありませんでした。その姿から「蝦夷富士」とも呼ばれ、人気のニセコエリアのシンボルでもある羊蹄山。ふもとには雪は無いものの、徐々に雪道となり、山頂は冬山と気温が変わらない状況です。2人は午前10時半ごろに入山、頂上まではたどり着いたものの、下山中に動けなくなったと言います。

■雪崩で死亡事故も “無謀春山登山”の背景にSNSの影響か

春山登山には雪崩のリスクもあります。13日、山開き後の北穂高岳でも雪崩が発生。3人が巻き込まれ、60代の男性が死亡しました。

信州まつもと山岳ガイド協会 藤井伸さん 「アルファベット「M」のような岩の上部から雪崩が発生して、その雪崩は「M」よりも下まで雪崩れていったそうです」

北穂高岳では、去年5月に長野県警による滑落の訓練も行われていました。雪山を歩くためには、転倒後に滑落するのを防ぐ、「滑落停止」の技術なども身に着ける必要があると言います。

報告・富樫知之ディレクター 「河童橋付近は雨にもかかわらず、観光客の方で賑わっています」

北アルプスの玄関口である上高地。

報告・富樫知之ディレクター 「あちらの方、足元を見ると、履いているのはスニーカーですね」

16日に北穂高岳へ向かった、山岳ガイドの藤井伸さん。無謀な登山者が相次ぐ背景に、SNSによる影響があるとみています。

信州まつもと山岳ガイド協会 藤井伸さん 「SNS等で(山の)魅力もリアルに感じられて、『私も行きたい』と思われて来ていると思うが、それに必要な技術・知識・体力が無い方が、増えているように感じている」

春山の危険な場所については、(1)日陰で雪が滑りやすくなっている場所、(2)雪で登山道が分かりにくい場所、(3)雪で転倒すると一気に転落する危険がある場所、などだと言います。

雪山では、登山靴に装着する「アイゼン」や、滑落停止の時にも使う「ピッケル」、そして「ヘルメット」が必需品です。しかし、遭難者はこうした道具さえ持っていないことが多いと言います。おととし5月、北アルプス焼岳での遭難者救助の際には、こんなやりとりがありました。

救助隊員「雪渓で滑って落ちちゃったってこと?」 遭難者「そうです」 救助隊員「アイゼンはしてないんだね?もうちょっとしっかりした装備で登った方が良いかな」 遭難者「甘かったです。こんなに(雪が)溶けていると思わなくて」 救助隊員「頭打たなくて良かったけど、ヘルメットしておいた方が。こういうところは落石もあるから」

焼岳では、16日も2人が遭難し、翌日救助されています。

信州まつもと山岳ガイド協会 藤井伸さん 「雪と土の上を歩くのは全然違う技術が必要になりますので、たとえ(夏に)同じ山を登ったとしても、行くのは極めて危険」

(C) CABLE NEWS NETWORK 2025

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