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“備蓄米”なぜ届かない?“流通”に課題も 徹底取材

経済

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 全国のスーパーのコメ価格が3週連続で値下がりです。そんななか、「備蓄米」は私たちの身近な生活にどれだけ届いているのかを徹底調査です。

■“備蓄米”どこまで届いた?

 「あなたは政府備蓄米を買いたいか」、街の人に聞きました。

40代の人 「(Q.備蓄米を買いたい?)まだ買っていない。味にもよるが今のところ買う予定はない」 「買えるチャンスがあるなら、店頭に売っていれば買いたい」

 随意契約の備蓄米は大手スーパーやコンビニ店などで本格的に販売が始まり、一気に全国に拡大。

 消費者の動向を研究する機関が全国約1万人を対象に先週行った最新の意識調査では、随意契約による備蓄米を買いたいと思った人が64%に及んでいます。

 ただ、その中で実際に備蓄米を買った人は、わずか5%ほどにとどまっています。

70代の人 「ほしいけど買えない」 「買っていないというか売っていない。うちの方のスーパー」

 備蓄米が届いてない訳は…。番組で徹底調査します。

 随意契約に関わる小売店や卸売業者、政府側を取材しました。

 まずは小売店から。取材班が向かったのは埼玉県内で5店舗を展開する「スーパーマルサン」です。

 随意契約の備蓄米20トンを先月30日に申し込み、今月5日までには書類審査が完了しています。ただ契約は完了しておらず、備蓄米は店頭に届いていません。

スーパーマルサン 久喜店 伊良原正裕店長 「国がスピーディーに消費者に届けると言っていた割には、間の作業が随分時間がかかってしまっているのかなという印象。うちのスーパーでは『まだ販売しないの?』という問い合わせがかなり多く来ている。早く欲しいという消費者に届けられないのがジレンマ」

 備蓄米を精米する卸売業者は、どんな状況なのでしょうか。

 別の取材班が向かったのは岐阜市にある精米工場「ギフライス」です。

ギフライス 恩田喜弘社長 「どうぞ、こちらです」

 恩田社長がコメを保管する倉庫を案内してくれました。

ギフライス 恩田喜弘社長 「低温倉庫で15℃前後で保管している。これが2回目の競争入札で落札された“江藤備蓄米”残りが…10本、約10トン分ある。これで2回目の“江藤備蓄米”は終了になる」

 16日、工場で精米していたのは競争入札の2回目でJA全農(全国農業協同組合連合会)が落札した2024年産の備蓄米です。

 随意契約の備蓄米についても大手小売店4社から「委託精米」の依頼を受けているといいます。

 先月29日に取材した時には…。

ギフライス 恩田喜弘社長 「6月に入ると小泉大臣の随意契約の備蓄米をメインに切り替えないと仕事が回らない」

 あれから18日が経ち、随意契約による備蓄米の委託精米は進んだのでしょうか。

ギフライス 恩田喜弘社長 「当初6月上旬からという話も聞いていたが現状、全く(進んでいない)。4社から『月に100トン、最低でもやってくれ』と精米の委託をもらっているが、現状1粒も入庫していない」

 いまだ肝心の備蓄米が全く届いていません。そもそも備蓄米の流通ルートは2つあります。

 「競争入札」では、JAなどの集荷業者から卸売業者を経て小売店へ。一方、今回の随意契約では政府が直接、小売店と契約。精米機能を持たない小売店は卸売業者に精米を委託します。

 精米を担うギフライスが発注元の大手小売店に問い合わせると「政府側から備蓄米がまだ届いていない」という回答が。

ギフライス 恩田喜弘社長 「(国側に)発注は掛けているようだが、受託事業体から『いつ入れる』という案内がまだ来ていないみたいで、当社もいつ来るか待っているが、今のところ小売店から『いつ入荷できる』正確な日にちはまだもらっていない」

 政府側を取材すると、備蓄米流通の新たな課題が見えてきました。

 農林水産省によりますと、随意契約の備蓄米は政府から「受託事業体」と呼ばれる4つの業者を経由して小売店などに売り渡されるといいます。

 この受託事業体の役割は備蓄米の保管や運送などです。ただ今回、取材したケースでは、受託事業体から小売業者への連絡がないといいます。

ギフライス 恩田喜弘社長 「全く受託事業体から(小売店に)連絡もないので今、契約しただけで引き取りも売却もどうしたら良いのか分からない状況」

 流通の段階で目詰まりはあるのでしょうか。

 今月16日、番組が受託事業体4社に問い合わせると回答が…。

受託事業体 A社 「農水省の委託で業務を行っており、何もお答えすることはできません」

受託事業体 B社 「答えられることは『農水省の指示に従って粛々と業務をこなしている状況』というのみです」

 他の2社は取材には応じられないとしています。

 コメの流通に詳しい専門家は…。

宇都宮大学 農学部 松平尚也助教 「原因は物流の遅れ、ドライバーの確保。随意契約の備蓄米は保管場所から精米場所まで輸送費支援ということで国が取り次ぎして輸送されることになっているが、受託事業体が国から要請を受けて、恐らく物流会社とも連絡調整をする必要がある。これも大きな事務的負担になっていることが予想される」

 農水省は番組の取材に対して「順次トラックなど手配をして進めている」と答えています。

■コメ価格 3週連続値下がり

 午後5時すぎ、小泉農水大臣(44)はコメの平均価格について…。

小泉進次郎農水大臣 「大変ありがたいことに3週連続下がっていると、これは2023年の8月以来で90週ぶりということ。間違いなくマーケットが全体として下げ基調に入ってきたと言える」

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