政府の中央防災会議は南海トラフ地震で想定される死者数について、今後10年間で「おおむね8割減少させる」とする目標などを盛り込んだ新たな防災政策の方針を決定しました。
南海トラフ地震を巡っては今年3月、政府の有識者検討会が10年ぶりに被害想定を見直し、最悪のケースで死者は約29万8000人、建物の全壊は約235万棟などとする新たな試算を公表しました。
これを踏まえ、今月1日に開催された中央防災会議は南海トラフ地震に関する防災政策などを定める「防災対策推進基本計画」を改訂しました。
「今後10年の減災目標」として、想定される死者数は約29万8000人から「おおむね8割減少」、建築物の全壊焼失棟数は約235万棟から「おおむね5割減少」を目指すと盛り込まれました。
また、中央防災会議は南海トラフ地震が発生した場合に、震度6弱以上の激しい揺れや高さ3メートル以上の津波の恐れがある「南海トラフ地震防災対策推進地域」に16市町村を新たに追加する方針を政府に答申しました。
新たに追加する方針が示されたのは神奈川県綾瀬市、長野県塩尻市、王滝村、長崎県長崎市、佐世保市、諫早市、平戸市、五島市、西海市、雲仙市、新上五島町、熊本県熊本市、氷川町、大分県日田市、玖珠町、沖縄県今帰仁村です。
政府は中央防災会議の答申を受け、これらの市町村を速やかに「防災対策推進地域」に指定するとしています。
「防災対策推進地域」に指定された場合、自治体は「南海トラフ地震防災対策推進計画」の策定が義務付けられ、不特定多数の人が出入りする施設の管理者は「南海トラフ地震防災対策計画」の策定が義務付けられることになります。