YouTuberのように生身の人間ではなく、2次元または3次元のキャラクターが配信をする「Vチューバー」が、最近、注目を集めています。 そんな中、香川県でも特産品を盛り上げるVチューバーをつくろうという動きがあります。その名も、「あじ石一恵」さんです。
高松市牟礼町と庵治町で、1000年以上前から採掘されているのが「庵治石」です。
(記者) 「磨けば磨くほどつやが出る庵治石。斑(ふ)と呼ばれるまだら模様が大きな特徴です」
庵治石は「花こう岩のダイヤ」とも呼ばれる最高級品。耐久性に優れ、お墓でよく使われるほか、結晶が緻密なため、細かい加工や彫刻にも適しています。しかし近年、この庵治石を取り巻く環境は厳しくなっています。
(記者) 「こちら、庵治町にある石材加工会社です。高価な庵治石は需要も少ないため、実はこちらで扱っている石の9割以上が庵治石ではないんです」
庵治町の大一石材工業では多いときには5人の従業員で石の加工にあたっていましたが、注文の減少で、現在は社長1人で切り盛りしています。
(大一石材工業/広瀬昇 社長) 「私も息子がいたんですけど、『継いでくれ』とは言えなくて、自分の道を進んでくれということで他の職業やってます」
牟礼町と庵治町に3つある石材関連の組合に加盟している会社は、ピーク時の半数ほどになっています。お墓の需要減少や後継者不足で廃業する会社が後を絶たないんです。
(中谷石材/中谷明生 社長) 「何にでも石は使えるんだということ、石があって生活環境がよくなるんだということを若い人にも告知していかなきゃいけない」
そんな石材業者からのSOSに応えたのが、高松市牟礼町のデザイン会社「スクルト」です。庵治石のブランディングを考える中で、Vチューバーを使うことを決めました。
(スクルト/村上モリロー クリエイティブディレクター) 「とにかく間口を広げんことには広がりようがないよね、ということに自分たちで行き着いて。それをするんだったら、若い人で発信力がある人たちに庵治石の存在を知ってもらう」
生み出されたキャラクターが「あじ石一恵」さん。牟礼町のスナックのママという設定ですが、実は男性。オネエキャラのVチューバーは珍しいそうです。
企画や動画制作に携わるのが高松市の大崎龍史さん。インターネットメディア「瀬戸内サニー」を運営するYouTuberです。
(瀬戸内サニー/大崎龍史 YouTuber) 「庵治石とこんにゃくを入れ替えて、マルナカで販売してみた、とか」
(スクルト/村上モリロー クリエイティブディレクター) 「真面目に言っても、真面目なことを知りたいのは興味がある人しかいないんで、興味がない人に知ってもらうためにはオモロイねっていうとこから入っていかないといけない」
“あじ石一恵さん”はまだ動いたりしゃべったりしません。機材を揃えるなどVチューバーとしての活動を広く支えてもらおうと、1口1000円からの「後援会」のメンバーを募っています。
8日・9日、高松市のサンメッセ香川で開かれる石の展示販売イベント「あじストーンフェア」で、一恵さんのお披露目と後援会メンバーの募集を行います。