生まれたばかりの赤ちゃんを写すニューボーンフォト。自身の育児経験から撮影を始めた岡山市のカメラマン、冨岡奈々子さんはシャッターを切るその一瞬に思いをのせています。
生まれて間もない小さな小さな赤ちゃん。赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいた時の姿を再現した写真を「ニューボーンフォト」といいます。
撮影しているのは、カメラマンの冨岡菜々子さん(37)。3年前に出張スタイルの写真館を立ち上げ、ニューボーンフォトや家族写真を撮影しています。
(冨岡菜々子さん) 「出向いていくとお母さんの日常、ご家族の思い入れのある場所で撮れたりとか、何てことない一瞬を切り取りたい」
この日は倉敷市でニューボーンフォトの撮影です。島村嶺ちゃんは(生後8日)、3日に生まれたばかりの男の子。嶺ちゃんが熟睡できるようにお母さんの胎内の音に似た音を流して、撮影の準備に入ります。
(嶺ちゃんの母親ー) 「今しか撮れない姿を。(嶺ちゃん笑う)笑った、可愛い感じで撮っていただけたら」
(冨岡菜々子さん) 「赤ちゃんが起きないうちに撮るので、どんどん時間勝負で撮っていくのでどんどん散らかっていくので」
嶺ちゃんを布にくるんで小さく丸まった姿を再現していきます。ニューボーンフォトは体が柔らかい生後2~3週間までがベストな撮影タイミングです。
新型コロナウイルスの影響でキャンセルが相次いでいますが、マスクや消毒で細心の注意を払いながら希望者の撮影を続けています。
(冨岡菜々子さん) 「尊さ、生まれたばかりの純粋さというか、赤ちゃんの美しさ、そういうのが写ればいいと思って。なかなか外出できない状況なので、こちらから出向くことにメリットはあるのかな」
冨岡さんは、働きながら2人の子どもを育てるお母さんです。環太郎君(5)も航太君(2)もいつも元気いっぱい。
長男の環太郎くんが生まれたばかりの頃は家にこもりきりになり、子育てする時間がつらいと感じることもあったそうです。そのときの思いがニューボーンフォトを始めるきっかけになりました。
(冨岡菜々子さん) 「赤ちゃんかわいいねとか、一緒に話ができるだけでもいいかなと思って、私も自分の時に誰かが来てくれたりちょっと話ができたら絶対よかったし」
夫の協力を得ながら仕事と育児に追われる日々。それでも、撮影を通じて自身も家族と過ごす時間の大切さに気付かされるそうです。
(冨岡菜々子さん) 「普通に過ごしてるけど、後から見たり関係ない私が入って見るとすごくその瞬間が輝いてる。自分が生活してこの人たちと一緒に過ごしてる時間も本当に貴重な一瞬なんだなと。子どもと過ごす時間、一瞬一瞬が本当に貴重だなと、気付かせてもらってます」
自身の子育ての経験も、撮影に生きるようになりました。
(冨岡菜々子さん) 「どうやって接したら抱っこしやすいとか教えてもらったこともあるし、実感したこともあるし。そういうのも伝えられたりもして」
(嶺ちゃんの母親ー) 「やっぱり慣れてるなって思いました。(写真が)楽しみ」
子育てに追われて、日々忙しい、お母さんが子どもと過ごした時間を忘れてしまわないように。赤ちゃんが大きくなった時に当時の暮らしぶりが伝わるように。一枚一枚に冨岡さんの思いが込められています。
自身の子育ての経験が新米ママの糧になることを願いながら、何気ない日々の幸せを切り取り続けます。