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【特集】ミャンマーのクーデターから1年…「決して諦めない」母国への思い

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 東南アジアの国、ミャンマーでクーデターが発生してから2月1日で1年です。今回の特集は岡山・香川に暮らすミャンマー人が母国への思いを語ります。

 ミャンマーは、中国、インド、タイなど5カ国と国境を接していて、面積は日本の約1.8倍です。クーデターにより軍部が国家権力を握り続ける中、ミャンマー人たちは今、何を思っているのでしょうか?

「We want democracy」

 2021年12月、岡山市の公園に約50人のミャンマー人が集まり、クーデターに抗議する集会を開いていました。

 参加したのは岡山・香川をはじめ、徳島・広島・山口などに住むミャンマー人です。「ジャスティス・ミャンマー・チーム」というグループです。

(リーダー/ニエインテインザーアウンさん)
「私たちミャンマー国民としては、デモクラシーが欲しいですよ。若者として自分の将来は自分が決めたいです。軍事政権は自分の事ばかりだけで、ミャンマーの国民たちを人と思っていない。動物みたいです。だからそのリーダーたちの下では、私たち国民たちは生きていたくない」

(デモ行進の様子)
「We want democracy(私たちは民主主義が欲しい)」

 切実な思いで、軍事政権への抗議の叫び声をあげます。祖国の現状をじっと眺めてはいられず、こうした活動を行っています。

 「ジャスティス・ミャンマー・チーム」の中心で活動するテッタンエインさんも、祖国を救いたい一心で活動に参加しています。

(テッタンエインさん)
「私たちが今やっている集まりを迷惑だと思わないで欲しいです。(日本人には)自分ならどう(考える)かなっていう問いを持って私たちに力を少しでも貸してほしいと言いたい」

 テッタンエインさんは、技能実習生として高松市で介護の仕事についています。クーデター以前は、日本で5年間働き帰国する予定でした。しかし、クーデター後、その考えが変わったそうです。

(テッタンエインさん)
「今も(状況は)落ち着いてないし、どんどん悪くなってきたから、軍事政権が続く限りは、帰らないと決めて、お母さんやお父さんからも、クーデター政権が終わらない限り帰ってこないでと言われている」

 テッタンエインさんは、近い将来介護福祉士の資格を取得して在留資格を変更し、日本で出来るだけ長く働きたいと考え始めています。しかし、祖国を思う気持ちが弱まったわけではありません。

(テッタンエインさん)
「自分は平和な国でそんなに困ることがなく、仕事をして、休みの日に出かけたり、帰ったらご飯をおいしく作って食べたり、どこに行っても平和だから、自分の国もこういうふうになって欲しいなと思う」

現在のミャンマーに「若者の将来」はない

 「ジャスティス・ミャンマー・チーム」は、2021年11月下旬からほぼ毎週日曜日、岡山駅近くの地下道で募金活動を行っています。

 リーダーのニエインテインザーアウンさんは普段、技能実習生をサポートする「監理団体」で通訳として働いています。

 サポートしているミャンマー人技能実習生らの多くがクーデター後、「当面は帰国しない」と考えるようになったそうです。

(ニエインテインザーアウンさん)
「10人中9人ですね、『帰らない』と。でも自分たちのふるさとだから帰りたい気持ちはありますが、ミャンマーの若者の将来は自分たちの国にはないので。日本ならありますよ、ミャンマーにはない」

 ニエインテインザーアウンさんは抗議活動の先頭に立っているため、現在の軍事政権のもとで帰国すると、逮捕される可能性があると考えています。しかし、その覚悟を持って抗議活動を行っています。

(ニエインテインザーアウンさん)
「帰れないとか、危ないことはよく知っています。でもお母さんは『あなたは若者なので、自分の国をよくする責任を果たせるまで頑張ってください』と言った。だから自分たちのリーダーが戻ってきたら国へ帰りたいですね。でも今の軍事政権では帰りません」

 ニエインテインザーアウンさんが抗議活動を積極的に行うことに職場も理解を示しています。

(グローバルビジョン事業協同組合/守屋律男 理事長)
「民主的な国に成長するための真剣な取り組みというのは、なかなか出来ないことですけど、自分を犠牲にしてやっていこうという志は立派だなと思っています。そりゃ、応援しなきゃいけないでしょう」

専門家「悪化の一途をたどっている」

 国軍が実効支配を続けるミャンマーでは、国軍と民主化を求める市民との対立が深まっています。民主派勢力が発足させた「国民統一政府」は2021年9月、国軍に対して自衛のための戦闘を開始すると宣言。市民や少数民族の組織に、武装蜂起を呼びかけました。

 そうしたミャンマーの状況を専門家は、「悪化の一途をたどっている」と分析しています。

(上智大学総合グローバル学部/根本敬 教授)
「国軍がこれまで使ってこなかった空軍力を使って飛行機で爆撃を行い、村人たちを殺害しているんですね。その結果、少数民族居住区を中心に村を離れ、国内避難民になる人が増えているんですね。その他、食糧不足が一部で起き、物価は上昇し、もともと貧困率が高い国なんですけど、その貧困率が最終的には5割に近づくであろうというところまで現在来ています」

 国連の最新の発表ではクーデター以降に住む場所を追われ、ミャンマー国内で避難している人は、推定40万6000人に上ります。その多くが過酷な状況に身を置いていると考えられます。

 30日、ニエインテインザーアウンさんら「ジャスティス・ミャンマー・チーム」は岡山市で抗議集会を開きました。
 クーデターから1日で1年。ミャンマー人たちは民主化を決して諦めてはいません。

※新型コロナの感染拡大に伴い、毎週行っていた募金活動は当面中止するそうです。

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