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【特集】旧琴南町・女子高校生殺害遺棄事件から25年 退官迎える捜査員「次世代への思い」 香川

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 未解決のまま、まもなく事件発生から25年になります。     

 香川県警は3つの未解決殺人事件について捜査を続けています。その一つ、旧琴南町で女子高校生が殺害・遺棄された事件は3月で発生から25年が経ち、発生当時、最前線で捜査に当たった警察官たちは退官の時期を迎えています。

 事件解決のために、警察官や遺族は当時を知らない捜査員たちにその思いをつなごうとしています。

1997年3月16日、旧琴南町の山中に女子高校生の遺体――

(香川県警察本部/渡辺耕治 地域監)
「いろんな捜査の過程でこちらに来る機会があれば、『現場をもう一回』という気持ちで何度か来たことはあります」

 1月、香川県警察本部の渡辺耕治・地域監が訪れたのは、25年前に女子高校生の遺体が見つかった現場です。

 当時、捜査1課の係長だった渡辺さんは関係者から事情を聞くなど事件の捜査の中心にいました。

(香川県警察本部/渡辺耕治 地域監)
「当時の情景を今でも思い出しますけど、それと同時に検挙できなかったことに対する無念さといいますか、申し訳ないという気持ちが湧いてきます」

 1997年3月16日、旧琴南町。現在のまんのう町の山の中で当時、高校1年生の真鍋和加さんが遺体で見つかりました。死因は首を絞められたことによる窒息死でした。

 警察は、前日の夜に三豊市のコンビニエンスストアでアルバイトを終えた和加さんを何者かが車で連れ去り殺害したとみています。

(香川県警察本部/渡辺耕治 地域監)
「今のスキルで捜査をしていれば、捕まっていたかもしれない」

 渡辺さんは15年前、坂出市で祖母と幼い姉妹の3人が殺害された事件など、捜査1課の最前線でさまざまな事件を解決に導いてきました。しかし、旧琴南町の事件はいまも未解決。3月、退官を迎えます。

 当時は捜査の「手法」や「体制」に未熟さがあったと考えています。

(香川県警察本部/渡辺耕治 地域監)
「防犯カメラであるとか、携帯電話の解析であるとか、さまざまな捜査手法が、今できてますけど、当時としては、そういう捜査手法への過渡期。それに加えて、捜査体制についても、『封建的』な捜査体制から『自由的』な捜査体制、意見具申ができるような捜査体制に移る過渡期であったと思います。そういったところが少しの要因ではあるとは、私は考えています」

半数以上の警察官は事件当時を知らない

 この日、香川県警察本部の堀川浩伸捜査1課長は、真鍋和加さんの母・明美さん(73)を訪ねました。

明美さん「時効がなくなったのはありがたいけど、捜査してくれてる人は大変だよ。何にも知らない人にだんだんつないでいくから」
堀川さん「きょうも若い刑事を連れてきておりますので」
明美さん「知らんもんな? うちの娘よりも若い?」
菅原さん「ちょうど同じ年になるんです」

 堀川さんは、捜査1課の次長を務めた2017年ごろから、母・明美さんと連絡を取り合っていて、家を訪ねるときには必ず後輩を連れてくるようにしています。

(香川県警察本部 捜査1課/堀川浩伸 課長)
「二十数年の月日が経って、もう警察官も半数以上の者は事件後に警察官を拝命していると、携わるとか携わらないとか、事件自体を知らないというような状態です」

「『こういう事件があった』っていうのを思ってくれるだけでも」

(情報提供を呼び掛ける真鍋明美さん)
「もし何かありましたら、どんなちっちゃなことでも構いませんので、どうぞよろしくお願い致します」

 殺人事件の時効が撤廃された2010年から、明美さんは警察と一緒に事件についてのチラシを配りを続けています。

(真鍋明美さん)
「まだ捕まってないから、自分の子どもや孫は気を付けてって。こういう事件があったっていうのを思ってくれるっていうだけでも。だから忘れてはほしくない」

「私が思い出す顔は、ドア開けたままで『気を付けていってらっしゃい』って言った、その顔しかないんですよ」

(香川県警察本部 捜査1課/菅原亮 警部補)
「気持ちが引き締まるというか、必ず、絶対に犯人を捕まえなくてはいけないというような気持ちになります」

(香川県警察本部 捜査1課/堀川浩伸 課長)
「お母さんの気持ちを、生の声を聞いてもらって、犯人を捕まえる原動力になったらいいのかなと」

和加さんの父・宜之さんは9年前に他界

(真鍋明美さん)
「暗いと寂しいですもんね。おるのがね。やっぱりおるとこは明るくしてあげないと」

 明美さんは和加さんの事件以降、夫の宜之さんとともに日本全国のお寺を巡礼してきました。宜之さんは9年前に他界しましたが、明美さんは今も1人で巡礼を続けています。

(真鍋明美さん)
「主人と十何年も一緒に二人でお参りしたところを歩きながら、子どものお供養と主人の供養を兼ねて思い出参りで行くのが、今の私の生きがいですかね。『手をついて、ここへ来て謝ってほしい』って、『それができたらもう俺は何にも言わない』ってそういう全部許せるっていう人だから。向こう行くまでに、できたら向こうで会ったときに、できたよって出てきてくれたよって言ってあげるのが一番かなって思ってるんだけど」

自分たちの「新しい目」で解決の糸口を

(香川県警察本部 捜査1課/菅原亮 警部補)
「これ両方とも朝日山なんですけど、この①、②、③辺りに被害者の遺留品ですね、靴とかが発見されたという状況」

 香川県警は琴平署に和加さんの事件の特別捜査本部を置いていて、菅原さんは琴平署の刑事と連携して資料の読み込みや情報の整理を進めています。

 菅原さんの父は元警察官で、この事件では鑑識として捜査に当たっていました。先輩たちから引き継いだ膨大な捜査資料を地道に見返しつつ、寄せられた情報を調べています。

(香川県警察本部 捜査1課/菅原亮 警部補)
「事件を実際経験した、捜査を経験している先輩方に直接話を聞くようにしてます。捜査するのも人間なので、当然見落としもあるので、新しい私たちの目でもう一度確認しながら、捜査で漏れている点がないかといったことも考えてます」

(香川県警察本部/渡辺耕治 地域監)
「私たちはどうしても凝り固まったといいますかね、同じ方向でしか事件を見れないような感じになっていますけど、今の捜査員であれば多角的な視点で、捜査をもう一度再考できると思いますので、そういった視点で再考して、解決の糸口をつかんでほしいと思います」

 香川県警は5年前に、和加さんが事件当時着ていた長袖のシャツを公開。これまでのべ6万2000人の捜査員を投入しています。

 これまでに200件あまりの情報が寄せられましたが、事件解決につながる有力なものはありません。和加さんの事件は3月で発生から25年が経ちます。

 香川県警は真鍋和加さんの事件を含めた未解決の3つの殺人事件について情報を求めています。気付いたこと、思い出したことがある方は(0120-120-016)までご連絡ください。

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