一般の人があまり目にすることがない企業や経営者が所有するアート作品を集め、その「つながり」にスポットを当てた展覧会が香川県丸亀市で開かれています。
中津万象園・丸亀美術館が企画したもので、香川県内の25の企業・団体から、社屋に飾っていたり、倉庫に眠っていたりした作品約40点を借りてきて展示しています。
(記者リポート)
「水墨画から、織物、彫刻まで。さまざまなジャンルの作品を楽しめるんですが、所有する企業や経営者と作品のつながりやエピソードを知ることができるのも特徴です」
人間国宝・山下義人さんが漆を使って描いた絵を所有するのは、産業用のはかりなどを手掛ける鎌長製衡。かつて「棒はかり」を生産していた際、木の耐久性を高めるため漆を使っていたことから、代々、香川漆芸を支援してきたそうです。
経営者らに声を掛け作品を集めたのは、中津万象園保勝会の評議員で、富士建設の社長、眞鍋有紀子さんです。
(展覧会を企画した 富士建設/眞鍋有紀子 社長)
「なんでこの作品がこの会社にあるんだろうと振り返ってエピソードを見ていただくことで、その会社の考え方とか経営者の体温みたいなものが伝わってくるところがあると思う」
久本酒店の佐藤哲也社長は、大学の卒業旅行でニューヨークを訪れた際、アーティスト・川島猛さんの自宅に半ば居候しながら異文化に触れたことがその後の人生に大きな影響を及ぼしたそうです。
(展覧会を企画した 富士建設/眞鍋有紀子 社長)
「美術品って装飾品としてのイメージがすごく強いんですけど、そうじゃないんだなと。初心に返りたいとか、元気がなくなったり、勇気がくじけちゃったりとかしたときに見返せていいなと思いました」
このほか、父親が病気療養中、病院に飾られていた絵に癒やされたことがきっかけで絵画を集めるようになったという話や、高校時代の恩師の作品を購入し、当時の思い出を語ったものも。
なぜ自分の会社にその作品があるのか知らなかった従業員も多いと言います。
(展覧会を企画した 富士建設/眞鍋有紀子 社長)
「これをきっかけに、『じゃあ自分はこれからどういうふうにアートと関わっていこう』とか、『こういうふうに関わっていきたいな』という気持ちが生まれてくるといいなと思います」
この展覧会は3月5日まで開かれています。