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【解説】「カラスの巣」が“停電”の原因にも… 2022年は香川で約7800個撤去 対策は

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 「7787」。これは、2022年の2月から6月にかけて四国電力送配電が香川県内で撤去した「カラスの巣」の数です。特に3月から4月にかけてが多くなっています。カラスの巣を撤去する理由は「停電を防ぐため」。2022年、香川県では「カラスの巣」が原因で4回の停電が起こり、のべ4000戸ほどに影響が出ました。

 四国電力送配電は、カラスが巣作りをする2月から6月にかけては「カラスの巣」のパトロールを行っています。

(記者リポート)
「巣は木の枝がたくさん重なる形で出来上がっています。中にはカラスがいます。くちばしが動いています。周りをきょろきょろ確認しています」

(四国電力送配電/保井伸基さん)
「針金はなし。営巣の完成率は50%以上。高圧線にも接触があるので本日撤去」

 作業員は巣の状態を確認し、撤去する優先順位を判断します。

(四国電力送配電/保井伸基さん)
「ご覧になってわかるように、この針金でできてるハンガーがめちゃくちゃ多くて、木の素材よりも明らかに鉄の素材の方が事故のリスクが高くなります」

 カラスは巣の素材として金属製のハンガーや針金を使う場合があります。特に雨の日にはリスクが高くなるため、パトロールは毎週金曜日のほか、雨が予想される日の前日にも行っています。

 四国電力送配電は40年以上前からカラスの巣の撤去を続けています。

 パトロールの時に重点的にチェックするのは、過去に巣が作られた電柱とその周辺です。カラスは同じ場所に巣を作る習性があり、1度撤去しても、翌週にはまた同じ場所に巣ができていることもよくあるそうです。

 今シーズン「四国電力送配電」は高松市内だけで400ほどの電柱を重点的に警戒しています。

 四国電力送配電によると、カラスの巣が作られやすいのは市街地の電柱です。これは、カラスが巣を作る山が近くにないためだとみられています。

 四国4県の中では徳島・高知に比べて香川・愛媛に作られるケースが多いということです。

 高松市檀紙町の住宅街にある電柱には木の枝で作られたカラスの巣が。巣の近くではカラスが見つめています。

 作業員は感電しないように防護服をまとい、高所作業車を使って人の手で巣を撤去します。

(四国電力送配電/保井伸基さん)
「これは、全部木でできているので、郡部とかで作る場合は、こういう木の営巣が多いですね。比較的上手に作っているなという感じはありますけど、大体完成してくるとこういう形になる」

 撤去だけでなく設備の面でもいろいろな対策に取り組んでいます。

(四国電力送配電/保井伸基さん)
「リスクの高い柱は、カラスの営巣を誘導して、そこにしてもらうという対策も何カ所かしています」

 取り付けられていたのは「営巣誘導材」。これは、カラスが巣作りするために電線から離れた場所に設置したものです。ここに巣を作らせることで、停電のリスクを下げるとともに撤去の効率化を図ります。

 高松市内に30カ所ほど設置していて、このうち30%ほどに実際に巣が作られているということです。

 こちらは「アンブレラボーン」と呼ばれる設備。下に伸びた傘の骨組みのようなものがカラスの巣作りを防ぎます。香川県では約5670カ所に設置しています。

 さらに、2021年導入したのが……。

(四国電力送配電/結城諭さん)
「こちらが営巣検知システムを搭載した車になります」

 このシステムは、車の前方に取り付けられた2台のカメラが左右の電柱を撮影し、AIがカラスの巣を判別。巣を見つけると事務所にメールを送ります。

 導入によって速やかな対応やパトロールの効率化が図れているということです。

(四国電力送配電/保井伸基さん)
「電気は、市民の方に欠かせないものですので、極力停電を少なくするために、安定供給を守るために、カラスのシーズンはしっかりと対策を行っています」

 四国電力送配電は「市街地ではカラスが巣の材料にハンガーなどを使うことがあるので、極力使っていないハンガーは取り込んでほしい」と呼び掛けています。

 また、電柱にカラスの巣を見つけた方は四国電力送配電(0120-410-805)に連絡してほしいということです。

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