Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」です。今回は「鳥インフルエンザ」に関するハテナです。
10月から11月にかけて岡山、香川ではあわせて3件の鳥インフルエンザが発生しています。岡山県では現在、今シーズン2件目となる発生を受けて約51万羽の殺処分が進められています。そんな中寄せられたのが――。
「殺処分は一部ではダメなの?」(高松市 のび太 49歳)
殺処分に関しては他にも同じような疑問が寄せられました。「家畜伝染病予防法」では、養鶏場で鳥インフルエンザが発生した場合、その農場で飼われている鶏は「全て殺処分する」と定められています。
鳥インフルエンザは病原性やウイルスの型によって、「低病原性」「高病原性」などに区別されます。
「高病原性」の場合、感染した鶏は10日以内に75%以上の確率で死んでしまうとされていて、香川県によると、中には感染から数時間で死に至るケースもあるということです。
このウイルスは周辺に広がりやすい特徴もあり、国は「まん延すれば鶏肉や卵の安定供給を脅かす」とともに「国際的な信用を失う」と警鐘を鳴らしています。
鳥インフルエンザのウイルスは感染した鶏の糞や唾液などから広がります。それらが養鶏場に出入りする人や車、侵入した猫やネズミなどを介して広がる可能性もあります。
そのため、発生が確認された鶏舎だけでなく同じ敷地内、もしくは日頃から人や車の行き来がある鶏舎にも感染が広がっている恐れがあります。
これらを踏まえて、周辺に拡大するリスクを下げるためにも、疑わしい鶏舎の鶏は全て殺処分することになっています。
2年前、三豊市では11月から12月の2カ月間で鳥インフルエンザが相次いで発生し、18の養鶏場で合わせて170万羽以上が殺処分されました。
ちなみに「低病原性」の場合感染した鶏の症状は、せきや荒い呼吸、産卵率が下がる、またそもそも症状が出ないなど比較的軽いものですが、海外では「高病原性」に変異した事例も確認されています。
そのため、「低病原性」であっても「高病原性」と同様に全て殺処分することになっています。
「予防のためのワクチンを作ることはできないの?」(善通寺市 瀬戸内たぬき 53歳)
香川県畜産課によると「ワクチンはあるが、予防接種はしない」ということです。鶏用のインフルエンザワクチンは人と同じく、「感染を完全に防ぐ」ものではなく「発症を抑える」ものです。
そのため、予防接種をすると症状が出づらく、結果として鳥インフルエンザの発生を見逃す恐れがあります。まん延を防ぐには「早く気付くこと」が大切なため「予防接種」はしません。
国は、ワクチンについて「殺処分」では対応できないほど感染が広がった場合、緊急的にワクチンを使うこともある、としていますがこれまでに使用したケースはありません。
「鳥インフルエンザの感染源は何ですか?」(倉敷市 yoshi122 66歳)
国によると鳥インフルエンザのウイルスは「渡り鳥」が日本に持ち込むとみられています。
繁殖のため、世界のそれぞれの場所に集まる「渡り鳥」。この渡り鳥たちの中で「ウイルス」がまん延し、その後、世界の各地に飛び立つことでウイルスが広がると考えられています。
そのシーズンに世界で流行する型は時間差はあるも概ね同じだということです。ちなみに、渡り鳥は飼われている鶏などと比べ、感染しても症状が出づらいとされています。
「人間にどんな影響があるの?」(倉敷市 ハンドル 15歳)
日本ではこれまで、鶏の肉や卵を食べたことで人が鳥インフルエンザウイルスに感染した事例は報告されていません。また、殺処分をしたり出荷制限をしたりすることで、感染した鶏や卵が市場に出回る可能性も低いということです。
しかし国は、感染拡大防止と万が一に備えて「鳥インフルエンザが発生した現場を見に行くのはやめてほしい」と呼び掛けています。