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【解説】最近の「制服」事情は? 『多様性』と『着やすさ』重視 組み合わせ1000通り以上の高校も 岡山・香川

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 岡山・香川の学校では最近新しい制服を導入しようという動きが広がっています。新しい制服で重視されているのは「多様性」と「着やすさ」です。

組み合わせは1000通り以上…変わる「制服」今後は?

 倉敷翠松高校も新年度、制服が変わります。

(倉敷翠松高校/川上忠良 副校長)
「女の子は夏にセーラーだけだと、エアコンが効いてるので寒いって子がいるんです」

 新しい制服は、基本となるシャツやブレザーなどに、オプションのアイテムを組み合わせることができます。

 オプションのアイテムの中には、パーカーやハーフパンツなどもあります。男女ともに好きな物を選ぶことができ、その組み合わせは1000通り以上。さまざまなコーディネートを楽しむことができます。

(倉敷翠松高校/川上忠良 副校長)
「いろんな生徒がいます。いろんな考え方もあります。ジェンダーの話もあったりしますし、そんな中で、組み合わせを考えていけるような制服はないのかなって形で、多様性が一つのキーワードであったと思います」

 学校側は、「デザイン」と「生徒たちの過ごしやすさ」を重視してアイテムを考えたということです。

 オプションのアイテムのうち、今のところ最も人気なのがパーカーです。新しい制服を注文した生徒の半数以上が購入したそうです。

 次いで人気なのが紺色のポロシャツです。アイロンなしで着ることができ、汚れなどが目立ちにくいところが人気なのでは、ということです。(2月20日現在)

(倉敷翠松高校/川上忠良 副校長)
「今、本校の生徒はパーカー認めていないんですけれども、楽だと言いますよね、もう一つはおしゃれだと。男の子だからスラックス、女の子だからスカートではなく、自分が自分の考えでいろんなのを試してみて、認め合える世の中、学校生活を送ってほしい」

 また、制服の購入方法も多様化しています。

(松木梨菜リポート)
「こうした制服は、学校に来ることなく、スマートフォンでサイズ合わせから購入までできるということです」

 この方法ではAIが画像をもとに採寸。ほしいアイテムを選べば購入することができるということです。

 岡山南高校も新年度、新たな制服を導入する学校の一つです。

 岡山南高校では、服飾デザイン科の生徒たちが学生服メーカーと一緒に「女子用」のスラックスなどを考えました。このスラックスは、座ったときにお腹や腰が見えないよう、ハイウエストになっています。

 制服を巡っては数年前から「変化」が表れていました。たとえば、関西高校は2018年度に、それまでの「詰襟」から「ブレザー」に変更。ストレッチ性を高めた倉敷産のデニム生地を使っていて、動きやすさなどの「機能性」も重視したということです。

 この制服のデザインを見直す動きについて学生服メーカーは――。

(菅公学生服 営業本部企画推進部/吉川淳稔 部長)
「ここ2、3年は2倍3倍という量でモデルチェンジが起きているっていうのが現状です。見た目に差が少ないブレザータイプってものが一番求められています。あわせて、子どもたちが自分の意思で選ぶことができる制服であったりとか、女子のスラックスなどはご要望いただくことが非常に多い」

 岡山市教育委員会によると、市内の公立小中学校の約9割が基準服を含めた、いわゆる「制服」を導入しています。このうち、小学校の約2割、中学校の約4割で、体調面やジェンダーレスを考慮して、女子がスカートかスラックスかを選べるということです。

 新たな制服を導入する動きについて性の多様性などを研究する専門家は――。

(岡山大学 医学部保健学科/中塚幹也 教授)
「スカートで動き回るときにズボンの方がいいとか、寒いときにスカートよりズボンを履きたいって子もたくさんいると思います。トランスジェンダーの子どもも困っているので、変えないといけないと思いますけれども、もっと広い視野で変えないといけない場面はたくさんあるので、選べるのは大事なことだと思います」

専門家「制服自体は必要」 家庭の負担を減らそうとする動きも

 一方、制服の在り方が変わっても「制服自体は必要だ」と感じています。

(岡山大学 医学部保健学科/中塚幹也 教授)
「経済的な格差があったような場合、私服だといつも最先端のものを着る方もいるし、そうでない子もいるってことで、差がついて見えてしまうとかいろんなことはあるので」

 新しい制服の導入を巡っては、それに伴う家庭の負担を減らそうという動きもあります。三豊市は新年度、7つの公立中学校で多様性などに配慮したブレザー型の統一制服を導入します。

 新入生だけでなく、新年度に2年生・3年生になる在校生たちも、希望すれば新しい制服を着ることができます。ただし、制服を買い替えるとなると「金銭面」の負担があります。そこで三豊市は新たに「リース制度」を設けました。

 三豊市によると、制服を買い替えた場合は一式3万5000円から4万5000円かかる見込みです。一方、三豊市のリース制度では1万円の負担で1年間新しい制服を着ることができます。ただし、卒業後には制服を市に返すことが条件です。

 三豊市はこの事業費として新年度の当初予算案に200万円を計上しています。

 学生服メーカーによると、新たな制服には保護者目線も重視されています。たとえば、家庭で丸洗いできるブレザーや、洗濯してもアイロンなしで着ることができるシャツ、などが導入されているということです。

 一方で、性の多様性に詳しい岡山大学の中塚教授は「制服だけでなくて今後は学校の体操服(色分け)や水着なども変わっていくのではないか」と話していました。

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