参加者3人が意識不明の重体となった「はだか祭り」として知られる西大寺会陽。祭りを主催する会の会長は当時の状況について「宝木が飛んで人がなだれ落ちた」と話しました。専門家は「祭り」と「安全」は相反するとし、対策の難しさを指摘します。
国の重要無形民俗文化財になっている西大寺会陽は、500年以上の歴史があります。岡山市東区の西大寺観音院で福を呼ぶという宝木を約1万人の締め込み姿の男たちが奪い合います。
2月21日、この祭りに参加していた6人が病院に搬送され、40代~50代の3人が意識不明の重体となっています。警察によりますと、3人は別々に参加していたとみられています。
祭りを主催する奉賛会の大森会長は当時、本堂の南側で2人、西側で1人が搬送されたと話します。また当時の状況については……。
(西大寺会陽奉賛会/大森 實 会長)
「宝木投下後、宝木が人の手から飛んで外の方に特に南の方に飛んだような感じになったんだと思いますけど、それをめがけて裸衆が一斉になだれを起こすようにそれに向かって集まった。それがああいう大きな事故につながったのだろうと思いますが、裸衆の方からここにけが人がという声が飛び交いだしまして、消防団がすみやかに搬送を日赤の救護所の方に運んだと思います」
警察や消防や警備員など1150人体制で警備を行う中、2026年は安全対策も強化していました。
(西大寺会陽奉賛会/大森 實 会長)
「昨年は1カ所で飲酒検問をしていたんですが、2カ所でいたしまして、同じ人で2カ所、二重チェックをしていまして、さらに厳しくしました」
こうした中で起きた今回の事故。岡山香川では、ここ数年でみても祭りで事故が起こっています。3年前には真庭市勝山地区の「勝山喧嘩だんじり」で、祭りに参加していた男性がだんじりの間に挟まれ、死亡しました。2018年には観音寺市の秋祭りでだんじり1台が転倒し、当時、男児3人を含む合わせて7人がけがをする事故なども起きています。
群集の安全について研究している関西大学の川口教授は、「地域の祭り」は伝承行事としての側面が大きいと考えています。
(関西大学 社会安全学部/川口寿裕 教授)
「私の地元は大阪の南部で岸和田ではないんですけど大阪の南部ってどこでもだんじり祭りをやってまして。毎年どこかではけが人とか場合によっては死者が出ることが必ずあるんですけれども、かといって翌年から規制がかかるとか中止になることはなくって、毎年のように続いています」
その上で行事として伝承されてきた「祭り」と「安全」は共存が難しいと考えています。
(関西大学 社会安全学部/川口寿裕 教授)
「われわれ安全を考えているものからすればこうした方がいいんじゃないかって提案はありますが、それと地元の人の祭りへの愛着だとか伝統と折り合いをつけていくというところが大事だと思いますけど、難しいのが現実と感じています」
西大寺会陽の今後について、近く奉賛会は関係者と集まって協議するとしています。
(西大寺会陽奉賛会/大森 實 会長)
「けがされた方に対しては私自身もご回復を祈る毎日、祈るばかりですが、今後の件に関しましては安全確保を最優先に考えていますので、今後、関係機関と相談しながら適切に対応してまいりたいと思います」