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【解説】「走れば走るほど赤字」燃料費高騰で運送業は悲鳴 ガソリン価格はどこまで上がる? 香川

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 ガソリン価格が高騰しています。レギュラーガソリンの平均価格は、8月21日時点で、香川県は186.4円で2週連続で過去最高を更新しました。岡山県は181.9円で15年ぶりの180円台となりました。
 7月以降急激に高騰しているガソリン価格は、今後どこまで上がるのでしょうか?

ガソリン高騰の背景は

(記者リポート)
「こちらのガソリンスタンドでは、店頭表示価格、レギュラーは186円、今月に入って6円上がりました」

(利用者は―)
「ちょっと高いですね。せめて170円くらい」
「170円超えることは、なかったような気がします。急に上がりましたよね」
「家計に痛い金額ですね」

 このガソリンスタンドでは、客離れを防ぐためアプリを提示したり車検を予約したりすると、販売価格を割り引くサービスを行っています。

(カーケアステーションセルフ今里町/西山諒さん)
「なかなか価格を下げるのは難しいので、ほかのところでご協力できるようには、頑張っているところですね」

 世界経済の動向に詳しいエコノミストの上野剛志さんが高騰の理由にあげるのは「原油の減産」です。

(ニッセイ基礎研究所 上席エコノミスト/上野剛志さん)
「世界的に新型コロナ禍から経済活動の再開が進められているので、原油の需要は増加基調にある一方で、サウジアラビアやロシアなどの主要産油国は原油価格を底上げしたいので、減産を実施している。この結果、需給関係が引き締まって原油の価格が高止まりしている」

 また、「円安」によって原油の輸入価格が上がっていることも一因です。

 そして、国が石油元売り会社に支給している補助金が、6月から段階的に引き下げられていることも背景にあります。

(ニッセイ基礎研究所 上席エコノミスト/上野剛志さん)
「あくまでも補助金が終了するという前提ですと、10月初旬の段階で、1Lあたり195円程度までガソリンの小売価格は上昇する可能性が高い」

 ガソリン価格の高騰を受けて政府は、9月末に終了する予定だった補助金を延長する検討に入りました。

(ニッセイ基礎研究所 上席エコノミスト/上野剛志さん)
「5月以前のような状況に戻すということであれば、170円程度に収れんしていく」

燃料費高騰で運送業は悲鳴

 高騰しているのはレギュラーガソリンだけではありません。

 軽油の香川県の平均価格は、2020年5月には97.5円でしたが、8月21日時点で166.1円まで高騰しています。

 軽油を大量に使う運送業者は、苦しい経営を強いられています。

 高松市に本社を置く「瀬戸内陸運」です。大型トラックを中心に約260台を所有し、四国と関東・九州を結ぶ長距離運送を担います。

 軽油は1カ月に60万Lほど消費するため、軽油の値段が1円上がると、約60万円経費が増えることになります。

(瀬戸内陸運/山下博彦 常務)
「今月では9円ほどアップしそうですから、もういきなり60万L×9円で540万円、全く利益からとんでしまいます」

 軽油のほかにも、トラックの車両代や修理にかかる部品代も2023年の春から値上がりが続いています。しかし、コストの上昇分を価格に転嫁できていないといいます。

(瀬戸内陸運/山下博彦 常務)
「値段交渉、運賃値上げで、いろいろなところにお邪魔してお願いはするんですけれども、やはりお客様(荷主)も同じような状況で、なかなか我々の要望に対して難色を示されているようです」

 さらに事業者の頭を悩ませているのは「2024年問題」です。

 長時間労働が課題となっていた運送業について、2024年4月から、年間の時間外労働の上限が960時間に制限されるなど「働き方改革」が進みます。

(瀬戸内陸運/山下博彦 常務)
「浮かせられるのは、唯一高速代です。(本来は節約のために)下道を走るんですけれども、今は労働問題もありますので、労働時間の削減とか、浮かせていたのが浮かせなくなる。八方ふさがり状態です」

 労働環境の改善が進んでも、それによって1日に運べる荷物の量が減り、売り上げが減るほか、走行距離に応じて手当が支給されるドライバーの収入が減ることにもつながります。

 香川県トラック協会は県に支援を要望。

 県は2022年度から、運送事業者を対象とした支援金制度を設け、トラック1台あたり最大で3万円を支給しています。それでも、軽油高騰による影響は深刻です。

(香川県トラック協会/齋藤文克 専務理事)
「走れば走るほど、軽油が高いから赤字になる。事業撤退するしかありません。中小企業の事業者は、だんだん減ってくると思います」

 野村総合研究所によりますと、事業者の撤退やドライバー不足により、2020年に香川・岡山で運んでいた荷物量の4割ほどが、2030年には運べなくなると推計しています。(岡山35%減 香川37%減)

(香川県トラック協会/齋藤文克 専務理事)
「輸送量も減ってくるし、宅配は翌日配達も無理。翌・翌・翌日になってくるかも分からない。サービスは悪くなりますね。荷主だけじゃなく、消費者に理解してもらうのも重要なことだと思います」

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