香川県三豊市出身の女子大学生が、故郷に私設図書館をつくろうと準備を進めています。目指しているのは、子どもたちの「新たな居場所」になることです。
私設図書館「ぽわぽわ図書館」は、三豊市仁尾町仁尾の築約100年の古民家を改装したコーヒーショップの一角で準備が進められています。手掛けるのは三豊市出身で慶応義塾大学の2年生、中村彩さん(20)です。
(慶応義塾大学 2年/中村彩さん)
「これは私、結構敬語が上手に使えないから『できる大人のモノの言い方大全』。『ちょっと頑張って考えてますよ…感』が出ている本」
「ゆくゆくは、シェア本棚として一つの区画を購入していただいて、購入者に好きな本を並べてもらう形にしたい」
中村さんがこの場所を作るきっかけ……それは中高生時代の経験でした。
(慶応義塾大学 2年/中村彩さん)
「私は中学の時に、学校にも家にもなじめなくて、居場所がなくて、すごく孤独を感じていた時期がありました」
中村さんは3歳の頃からピアニストを夢見て練習に打ち込み、中学1年の時には全国大会にも出場しました。しかし、全国の壁は厚く挫折……中学2年の頃から学校にいけなくなってしました。
その後、地元の高校に進学しましたが、体調を崩してしまい、通信制の高校に入り直しました。
そして3年生の時、中高生を対象に学校の垣根を越えた部活動を展開する「みとよ探究部」に参加しました。
(慶応義塾大学 2年/中村彩さん)
Q.探究部の時のテーマは?
「『中高生の居場所を作りたい』っていうテーマです。『居場所が欲しいって思えている人』って少なくて、潜在的に求めている人がすごくたくさんいて……。そういう子たちに届けるための居場所をつくるには、『ここが居場所ですよ』って言うのではなくて、気付いたら、ここに来たら『ここが居場所』になっている、みたいな場所を作っていくことが大事だと思った」
中村さんが中高生が集える場所を模索していた時、同じく三豊市で「子どもたちの居場所づくり」に取り組む女性たちに出会いました。
(居場所づくりに取り組む/辻ひとみ さん)
「今、仁尾って、父母ヶ浜が人気になって、すごくたくさんの人が関わったり、地域の子どもが出会えるきっかけさえあれば、なんかみんな、自分の学校と家庭だけの価値観から解放されて、自由になれるじゃないのかなと思ったのがきっかけ」
髪の毛を金色に染めて自ら「ギャル」を公言する中村さんは、自分らしさを表現するために、図書館にミラーボールや黒電話なども設置しています。
「ぽわぽわ図書館」は、2023年中の開館を予定しています。
(慶応義塾大学 2年/中村彩さん)
「どれだけの人を救えるかわからないけど、学校と家庭以外の場所として、何かできることを、自分なりにやっていって、自分らしさみたいなものを隠さずに、みんなが生き生きできるような、そんな子どもたちを増やしていけたらいいな」