10月、香川県観音寺市の伊吹島で4年ぶりに伝統の秋祭りが開催されました。
神様に豊漁を感謝する秋祭りは、江戸時代から続く伊吹島の伝統行事です。
急こう配の坂道を下っていくのは3台の「ちょうさ」。過疎高齢化で担ぎ手が足りないため、2023年は台数を減らすことも考えたそうですが、島の外から多くの助っ人が集まりました。
港でちょうさが見守る中、みこしがイリコの漁船に乗り込みます。
伊吹島では、9月中旬までイリコの原料となるカタクチイワシの漁が行われました。
伊吹漁業協同組合によると、2023年の「イリコ」の生産量は、2022年を1割ほど上回る1847トンでした。
一方、イリコの産地として知られる長崎県の2023年の生産量は2022年の3分の2ほどに減少。
これによりイリコの単価が上がったため、2023年の伊吹島での売り上げはここ30年で最も高く20億を超えました。
島を代表する産業の好調ぶりに祭りも例年以上に熱を帯びます。
みこしを乗せた船が島を一周する「船渡御(ふなとぎょ)」。みこしの担ぎ手たちの顔には墨を塗ります。
港に戻ったみこしを子どもや厄年の大人たちが歌や踊りで足止めします。祭りの終わりを惜しむ人たちに見送られて、みこしは神社を目指します。
(野口真菜リポート)
「最後にみんなでちょうさを担ぎ、6時間に渡るまつりが幕を閉じました」
(参加した漁師は―)
「(参加は)今年初めてだったんですけど、4年ぶりなだけあって盛り上がっていました。先輩方にも囲まれてすごく緊張したんですけど楽しめました」
伊吹島では、2022年以上に獲れたカタクチイワシですが、水産研究・教育機構の米田道夫さんは環境の変化によって状況が変わってきていると指摘します。
(水産研究・教育機構/米田道夫さん)
「過去20年のデータを見ると、5月初めは20年前より3℃くらい水温が上昇しています。カタクチイワシはほかの魚に比べて温度の適正範囲が広いので温暖化でいなくなるとは考えられないですが、取れる時期、漁獲量が変化することは考えられます。環境が変わった中でどうやって収益を上げていくかを考えないといけないですね」