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【特集】ハンセン病療養所がある大島 小中学生が歴史や魅力を体感するサマースクール 高松市

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 国立ハンセン病療養所がある高松市の大島で、子どもたちが島の歴史や魅力を体感する恒例のイベントが開かれました。

 8月2日から4日にかけて、泊まりがけで行われた「大島サマースクール」には、小学生と中学生、20人が参加しました。

 大島は、高松港から船で20分ほどの小さな島。国立ハンセン病療養所「大島青松園」があり、入所者と一部の職員だけが暮らしています。

(こえび隊 [運営を担当]/笹川尚子さん)
「ここにいる島の方々はハンセン病になった後、家族とも引き離されてこの島に来ることになっていました。子どもの頃にこの島に来て、今もここで暮らしている方々がたくさんいることを覚えておいてください」

 子どもたちが最初にやってきたのは納骨堂です。
 ハンセン病は感染力が非常に弱く、戦後には特効薬もできましたが、国は平成の時代まで強制隔離政策を続けました。

 納骨堂には、いわれのない差別や偏見によって故郷に帰れないまま亡くなった約1500人が眠っています。

 そんな島の歴史や魅力を知ってもらおうと高松市が開いているこのイベントは、2024年で9回目。20人のうち7人が2023年に引き続き参加しました。

(2回目の参加/頼富倫さん [小2])
「(Q.今年も来ようと思ったのはなぜですか?)楽しかったし、おやつも食べられたから。(Q.ハンセン病についてどう思いますか?)[島の]外に出られないし、大変だったと思う」

 瀬戸内国際芸術祭の会場となっている大島には、ハンセン病をテーマにした現代アートが数多く展示されています。

(参加した中学生)
「(ハンセン病は)感染しやすい病気だと思われていて、汚いものを触るかのような扱いを受けた」

 入所者をモデルにした作品「Nさんの人生」について、事前に学んだ高学年の子どもたちが解説しました。

 1952年、16歳で大島に強制隔離されたNさんは、職員不足のために重症患者の看護をさせられるなど過酷な経験をしたといいます。

 それから70年以上の月日が流れ、Nさんこと野村宏さんは、88歳になりました。おいしいトマトを育てて、毎年、子どもたちを出迎えています。

(子どもたち)
「ありがとうございました!」

(大島青松園 入所者/野村宏さん [88])
「もしよかったら来年もまた来てちょうだい。おじいさん元気だったらまたつくっておくから」

(大島青松園 入所者/野村宏さん)
「にぎやかだな。子どもを見ることがないから」

 20歳の時、入所者同士で結婚した野村さん。しかし、子どもを授かることは許されませんでした。

(大島青松園 入所者/野村宏さん)
「子どもができたら堕胎される、それが『らい予防法』という法律で定められていた。妻は堕胎されて、その時の悔しかったことは今でも忘れることができない」

(大島青松園 入所者/野村宏さん)
「こうやって、大島を見てもらうだけでもありがたいこと。見て理解してもらうことが一番大事」

 昭和30年代には約700人いた大島青松園の入所者は8月1日時点で29人。平均年齢は86.7歳です。全員、ハンセン病は治っていますが、後遺症や高齢化のため、医療や介護を受けています。

(こえび隊 [運営を担当]/笹川尚子さん)
「入所者の皆さんも、自分たちがいなくなった後もたくさんの人に来てほしい、この島のことを知ってほしいという願いがあるので、私たちはそのお手伝いをこれからも継続的にしていきたい」

 瀬戸内海に囲まれ、自然豊かな大島。岩にくっついている「カメノテ」という貝をみんなで採りました。

(参加した小学生は―)
「楽しかった! 2個しか採れなかったけど」
「こんな体験したことなかったから、来てよかったな」

 初めて自分たちで採った、カメノテの味は……?

(参加した小学生)
「カニみたいで、肉汁みたいなのがジュワっと出てきておいしかった」

 また、子どもたちはアーティストのアーサー・ビナードさんと、島で体験したことや感じたことをオリジナルの詩で表現しました。

(参加した小学生による詩の発表)
「ジリジリジリ……
岩にへばりついている
カメノテを採る時は
行くときも暑い

カメノテは
なかなか採るのが難しい

カンカンカン
ザーザーザー
たたく音と波の音が
重なっている

『次は誰がいなくなるのかな』
カメノテは言っている

カメノテを食べてみると
ダシがきいていておいしい」

「満ち潮だ満ち潮だ
くるぞくるぞ満ち潮だ

誰が投げたボールだ?
エジプトまで行っちゃうぞ」

(冨永七帆さん [小2])
「みんなともそうだし、アートとも触れ合える島だからいいなと思いました。(大島で亡くなった人に)天国で見ていてねという感じがしました」

(金子伸さん [小1])
「トマトを食べたりいろいろできるので楽しい」

(浅井陽向さん [中1])
「(病気の人を)差別するようなことは自分でもしたくない。一人ひとり大切に寄り添いたい」

 大島で過ごした夏は、子どもたちにとって忘れられない思い出になったようです。

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