高松市の住宅地で5月末からサルの目撃が相次ぎ住民の不安が広がっています。また、専門家も珍しいと驚く意外な被害も増えています。
人を見つけると追いかけて威嚇するサル。この映像は5月27日に撮影されたものです。
約1カ月にわたってサルの目撃が相次いでいる高松市屋島東町の住宅地です。近くの人によると、このあたりにサルが出没することはこれまでほとんどなかったそうです。
住民からの通報を受け、高松市は5月29日におりを設置するなど、サルの捕獲をめざしています。
(記者リポート)
「こちらがサルを捕獲する罠です。サルをおびき寄せるための果物や野菜にはかじられた跡はありません」
サルが味を覚えている可能性が高いニンジンやミカンなどを中心にエサを置いていますが、設置から2週間以上たった今もサルは捕まっていません。
猟師として市の捕獲作戦に協力している害獣駆除のエキスパート、猟友会の国宗一義さんです。
6月20日、国宗さんは新たな被害を発見しました。
(香川県猟友会/国宗一義さん)
「サルに殺されたんかも分からん」
国宗さんが見つけたのは子ネコの死骸です。国宗さんはこの2日前にも同じ場所で、サルが子ネコに近寄りちょっかいを出しているような姿を目撃していました。
(香川県猟友会/国宗一義さん)
「ここでネコを、左手に持って指で触りよったんよ。私が来たのに驚いてその木をゆすって威嚇してきよった。ネコをポンと離して、こっちに逃げて」
「怖いわな。そのうち人間に来るかもわからんし。大体ああいうのは、イノシシもそうやけど、弱い人間に来るからね」
このサルはなぜ住宅地に現れ、居ついてしまったのでしょうか? 京都大学霊長類研究所の出身で小豆島のサルの群れについても研究している専門家に聞きました。
(福山大学 生物科学科/石塚真太郎 講師)
「生まれた群れ、あるいはそれまで所属していた群れを離れてしばらく単独で活動している個体だと思うので、特に群れから離れるということ自体はニホンザルの世界では普通にあることです。自由気ままにおいしいものがあるところに現れているのかなというような気がします」
専門家の指摘通り、屋島のサルは自由気ままに出没を繰り返しています。
6月14日に別の住民が撮影した動画では――。
(撮影した人)
「ネコちゃんが横になって、毛づくろい?ノミか何か取ってるんかなと思ってしばらく見とって、ネコちゃん、ほらダラーンとしとるでしょう」
野良猫だけでなく家の中にいる飼い猫を覗き込んでいる姿も目撃されています。このネコの飼い主は――。
(ネコの飼い主)
「ネコ飼ってるもんにしてみたら(殺されるのは)可哀想以外ないですからね。だからもう、1歩も外には出ない子ばっかりなんでね。その辺はもう別に襲われたりっていうのはあんまり考えてないですね」
(福山大学 生物科学科/石塚真太郎 講師)
「ネコを殺すみたいな行動自体の報告は多分これまでにないと思うので。(Q.これまでにない?)ないと思います。見たことある人は探せばゼロではないかもしれませんけど、公表されている情報を見た限りでは見つからなかったので」
サルがネコを襲うのは専門家から見ても珍しいということです。
高松市は今後、猟友会や県とも相談しながら具体的な捕獲の方法について検討を進めることにしています。