ニュース

旧香川県立体育館「解体再考を」 ハーバード大学大学院から嘆願書 県は大学名と内容を伏せて公開

ADVERTISEMENT

ADVERTISEMENT


 世界的な建築家、丹下健三が設計した旧香川県立体育館について、アメリカのハーバード大学大学院が2025年4月、県に解体を再考するよう求める「嘆願書」を送っていたことが分かりました。県は大学名と内容を伏せてホームページに公開していました。

 関係者を通じて入手した嘆願書です。建築家・丹下健三が手掛けた図面や模型などを所蔵するハーバード大学大学院デザイン学部の学部長以下24人の教員の連名です。

 「旧香川県立体育館を失うことは、香川県の文化的アイデンティティーと経済の基盤を失うことになる」などとして、県に解体方針の再考を求めています。

 KSBの記者が情報公開請求したところ、県は2025年4月28日付のメールと郵送で嘆願書を受け取っていました。

 メールには「この手紙を公表していただいて結構です」とありましたが、報道発表などはなく、県のホームページの「県民の声」のコーナーで6月18日に公開。

 しかし、和訳も付けて送られた嘆願書の中身は掲載されておらず、文面だけ読むとハーバード大学大学院から送られたものだとは気づきません。

 さらに、5月12日付で、ハーバード大学とイリノイ大学から仲介を依頼されたという人もメールで要望書を送っていましたが、ホームページでは「米国の□□大学と△△大学」と大学名を伏せられ、要望書の中身は公開されていません。

 どちらのメールも県からの回答は同じで、建物の劣化で安全性の確保が急がれることや、利活用の予定がないことから解体を決めたなどとしています。

 そして、このメールや回答をホームページに公開するより前に香川県教委は旧体育館の解体工事の業者を選定する入札を8月ごろに行うことを発表しています。

 嘆願書への対応について池田知事に聞きました。

(記者)
「あえて大学名とかを隠していることを邪推すると、権威のあるところから(嘆願書が)来たということをオープンにしたくなかったのかなとも受け取れるんですけど、そういう意図はないですか?」

(香川県/池田豊人 知事)
「ございません。もし、そういうような誤解を招くようなことになっているのであれば直していきたいと思います」

 会見終了後、担当の広聴広報課から補足の説明がありました。

(香川県広聴広報課/塩田京子 課長)
「特定の個人や企業、団体に関するものというのは公開することにより支障が出る場合もありますので、名前が入ってるものについては一律伏せている」

 7月23日、建築家らで作る団体が旧県立体育館を民間による買い取りなどで公費を使わずにホテルなどに再生させる案を発表。「国内外から保存の声が多数寄せられている」などとして県教委に協議を行うよう申し入れています。

 嘆願書の提出者の一人、ハーバード大大学院の森俊子教授にメールで取材しました。

 森教授は「嘆願書の扱いについては県にお任せしているので思うところはない」とした上で、「批判や対立より歩み寄りが必要。今回の民間の力で再生を進めるという提案はとても良く、実現すれば世界中のお手本になると思う」とコメントしています。

関連ニュース

全国ニュース(ANN NEWS)

新着ニュース