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【特集】岡山自主夜間中学校 学び直しを支えて10年目 広がる活動と支援の輪

 年齢や国籍を問わず、「学び直し」を必要とする人たちを支える「岡山自主夜間中学校」。10年目を迎え、その活動は広がりを見せています。

先生「『さいしょ』の『しょ』」
生徒「ちょっと待って……」
先生「『はつうり』の『はつ』。そうそう、合ってる。『ころもへん』ね」

先生「0.1というのが10分の1のこと」
生徒「えっ、そうなの? 10分の1なの?」
先生「1.1だとどうなると思う?」
生徒「10分の11?」
先生「ピンポン、すばらしい」

 岡山自主夜間中学校は、岡山市北区の表町商店街で、週に3回、無料で授業を行なっています。

(生徒は―)
「小学校4年生から学校に行けてなくて。いじめですね。高校卒業資格がないとできない仕事もあって高校を卒業したいと思って。大学に行ってみたいという夢もある」

「中学は形式卒業だったんです。病弱で学校にほとんど行ってない状態。漢字が読めないとか……社会に出たら恥をかくことが多くて。先生や生徒とふれあった時に温かく感じます」

 生徒の登録者数は422人。年齢や国籍を問わず、さまざまな事情で「学び直し」を必要とする人たちをボランティアがサポートしています。

生徒「何年生まで分かっていたら高卒認定取れますか?」
先生「それは中学生の問題まで分かってないと……今は小学5年生だから」
生徒「ダメだね……」
先生「ちょっとずつちょっとずつ進んでいけばいい」
生徒「夢のまた夢を語ってしまった」

 代表の城之内庸仁さんは現役の中学校教諭。不登校だったかつての教え子が就職や生活に行き詰まっている姿を目の当たりにし、2017年に岡山自主夜間中学校を立ち上げました。

(岡山自主夜間中学校/城之内庸仁 代表)
「学ぶことができなくて生活そのものが脅かされる人というのが、かなりおられるわけです。最初は少ない人数からどんどん広がっていって、確かにこの岡山県でも学びが十分でないために困っている方のニーズが可視化できた」

 最初は月に2回、20人ほどだった生徒は日に日に増え続け、4年前には表町商店街に専用の教室を設けました。

(岡山自主夜間中学校/城之内庸仁 代表)
「学ぶ環境があれば人間はどこまででも頑張れます。この新校舎は夢を後押しできるところ、いっぱい勉強できるところ、安心して過ごせるところ、そういう教室を目指していきたい」

 授業以外にも活動の幅を広げ、その存在を広く知ってもらおうと、夏祭りなどの行事や商店街の清掃にも取り組んでいます。

 3月21日、教室にはおいしそうな匂いが漂っていました。2025年の秋から月に1回、「コミュニティ食堂」として教室を一般開放し、食事をふるまっています。

 この日は飲食店のオーナーが、活動を応援したいと50食のカレーを提供しました。

(MOJO BEAT/内海祐輔オーナー)
「どんな形であれ携わりたいと思っていました。町全体で応援する形になればいいなと思います」

(生徒)
「最高です、本当に幸せですね。1人暮らしなので、1人で食べるのは寂しいので」

 きっかけは、「物価高で生活が苦しい」という生徒の切実な声です。

(岡山自主夜間中学校/城之内庸仁 代表)
「読み書き計算ができないために就職が難しいとか、アルバイトもままならない方も多いんですね。1食減らさざるをえないとか、食べられないだけではなくて、1人で食べる寂しさや孤独感もよく聞く。そういう中で学ぶことも大事だけど、生きていかないといけない、そこも支えていけないかなというのも大きな思い」

城之内さん「ほうれん草、すごい新鮮ですね。次回の時に料理を作らせていただきます」
地域の人「食べていただいてありがとうございます」

 地域の人から食材が寄せられるなど、支援の輪も広がっています。

 夜間中学には、民間が運営する「自主」の他、自治体が設置する「公立」が各地に62校あります。岡山県でも2025年4月、岡山市に初めて開設されました。

 岡山自主夜間中学校は仲間同士のつながりを深めようと、三重県にある公立夜間中学校と交流しました。

岡山県の生徒「この人たちは誰でしょうか? 似てないんですけど」
三重県の生徒「千鳥」
岡山県の生徒「おぉ~(拍手)」

 お互いの県の名物や有名人を紹介したあと、「学び直し」への思いを語り合いました。

(三重県の生徒)
「中学1年の頃に学校に通えなくなって、長い間家に引きこもっていたんですけど、今は学校に通っています」

(岡山県の生徒)
「このように話ができてうれしいです。韓国から来て長いんですが、勉強をしていないので、ここに来て一からやり直しをしているんですが、特に音楽の先生が素晴らしくて、一緒に歌いましょう」

三重県の生徒「84歳です、そちらの最高齢の方はいくつですか?」
岡山県の生徒「90歳です」
三重県の生徒「ええっ! 私は戦後の混乱であまり勉強できなかったので、今楽しく勉強しています」

 最後は岡山自主夜間中学校の校歌を披露しました。

(生徒は―)
「とても楽しかったです。いろんなことを学ばれているんだなと思って安心しました」
「すごく心強いし、張り切ることができる、楽しみです」

(岡山自主夜間中学校/城之内庸仁 代表)
「『学び直しをしているのは自分だけなのか』という声をよく聞くんですね。お互いが学んでいることを知って(生徒は)自信を持てたのではないか」

 活動を始めて10年目。岡山自主夜間中学校は、教室や教材を確保するための寄付やボランティアなどの支援を求めています。

(岡山自主夜間中学校城之内庸仁代表)
「夜間中学にたどり着けた人はいいんですが、未だにどうしようかと迷っている人、もっと言うと夜間中学の存在すら知らない人はたくさんいる。そういう方に届けていくには地道な活動、この学校に明かりが灯っていることが、いつでも来られるという目印になる」

 岡山自主夜間中学校は、今夜も「学び直し」の明かりを灯し続けています。

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