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【特集】「最期まで自分らしく」岡山初のホームホスピスが真備地区に開所 そこで暮らす理由とは

 6月、倉敷市真備地区に岡山県で初めてとなるホームホスピスが開所しました。すでに2組が入居し、1人がショートステイを利用しました。それぞれがホームホスピスを選んだ理由とは。

 倉敷市真備町呉妹(くれせ)地区にあるホームホスピス「こいろ」。岡山県初のホームホスピスとして6月1日に開所しました。

 入居しているのは病気や年齢、障害などを理由に自宅で生活するのが難しい人。家庭的な雰囲気の中、住み慣れた地域で共に暮らし、人生の最期まで過ごすことができる「家」のような場所です。

(娘/小百合さん)
「きのうの今頃、京都を出発して……」

 この取材日の前日に「こいろ」に入居した池元さん親子。6月に入って、88歳の母・富喜子さんに重い肝臓がんが見つかったことがきっかけでした。

(娘/小百合さん)
「もう積極的治療はしないことになったんです。先生との話し合いで。前から母が病気になった時には(京都から)倉敷に帰ろうと思っていた」

 地元は倉敷市の玉島地区。親戚から、新たに開所した「こいろ」について教えてもらい、入居を決めたといいます。

(娘/小百合さん)
「母と私が、いろんな介助を受けながら一緒に住める。そして、田舎に帰って、母に実家やお墓参りとか、懐かしい景色とかを見せてやれる。そして、こちらに親戚が大勢いますので、その親戚とかにも、より会いやすくするという目標が実現できるのかな。(Q.ぴったりの場所が見つかった?)本当に奇跡的ですよね。本当にうれしい。本当にラッキー」

 入居2日目のこの日は、担当の訪問診療の医師による初めての診察でした。

(担当医/岡田 豊さん)
「あんまり我慢はせんように。しんどいことがあったら見に来るから」

 そして、「こいろ」への入居を記念して医師から三線の演奏と歌が贈られました。

(池元富喜子さん)
「(Q.ここでどんな生活が送れたらいいですか?)楽しく、愉快に、過ごしたい」

 「こいろ」は木造平屋建て約180平方メートルで、個室6部屋と共有の居間と台所を備えています。

 介護士や看護師が常駐し、それぞれに合ったケアが提供されています。

 こちらは、1日に入居した中田裕華さん、21歳。生まれて10カ月ほどで脳性まひと診断されました。裕華さんは、母の送り迎えで、平日は「こいろ」から生活介護の事業所に通っています。

(母/ミカさん)
「24時間365日、いつ家族が来てもいい。いつ泊まってもいい。いつ帰ってもいい。出入りも自由。普通はそういうところは中々難しいですから」

 ミカさんは家族の滞在について自由が利き、ケアについても相談しながらきめ細かく対応してもらえる点に良さを感じているといいます。

 また、「こいろ」は「地域に開かれた居場所」として居間や土間を開放していて、日々さまざまな人が訪れます。

 この交流による刺激も入居の理由の一つです。

(母/ミカさん)
「普通の人だったら、仕事で新しい人と会ったりとかありますよね。出会いとか。ここだったら、そういういろんな経験もできる。それが施設だったらあんまりない。その辺も全然違うかな。本当に自然に『第2のおうち』家が2つできたかな」

 週に数日は総社市の自宅で過ごすなど、その時の状況によって2つの家での生活を組み合わせることができるということです。

 「こいろ」を運営するのは、真備地区で訪問看護事業などを行うNPO法人「そーる」です。代表で看護師の片岡奈津子さんにとってホームホスピスの開所は、10年前の法人設立当初からの悲願でした。

 しかし、2018年の西日本豪雨で事業所や自宅は全壊。トレーラーハウスで訪問看護の事業を再開する中で、地域への思いを強くしたといいます。

(NPO法人「そーる」/片岡奈津子さん)
「8年前に多くの方がお亡くなりになってしまうという現実もありましたけれど、この呉妹の地域の皆さまに(訪問看護の)利用者さまを助けていただいていたという経緯がありますので、この地域で何ができるのかなって考えた時に、事業所としてもですけど、新しいこういう場所が提供できたら」

 6月8日から8日間のショートステイで「こいろ」を利用していた近所の内田充さん。西日本豪雨を経て、月に一回開かれている地域住民の交流イベントに訪れました。

内田さん「私あそこに入っとん」
地域住民「入られた?『こいろ』のとこやろ?」
内田さん「病院から家に帰らず、そこに入った」

 内田さんは一人暮らしをしている中、心不全を患い、急遽まび記念病院に1カ月入院。医師から、退院してすぐ自宅に戻るのではなく、1週間「こいろ」で生活するよう勧められました。

 こいろで90歳の誕生日を迎えた内田さん。日記にこの日の思いを記していました。

(内田 充さん)
「私のためにみんな祝ってくれた。生まれて初めてお誕生日会をしてもらった経験でした。長生きしてとても楽しかった。夢のよう。みんなありがとう」

 それぞれの理由でホームホスピス「こいろ」に入居する人たち。2004年に宮崎市で始まったホームホスピスは現在、26都道府県で66軒が運営されています。

 「こいろ」は、住み慣れた地域の中で、最期まで穏やかに「自分らしく」暮らすことができる場所を目指します。

(NPO法人「そーる」/片岡奈津子さん)
「ここでの生活を、とにかく毎日笑顔で過ごしてもらえるように、やっぱり主役は住人さんが中心で、私たちはそのサポート役というところは変わらないかなと思います」

(2026年6月29日放送「News Park KSB」より)

KSB 報道
執筆:KSB報道
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