7日は日本列島に、今季最も強い寒気が流れ込み、日本海側を中心に、大雪となりました。その原因は“線状降雪帯”「JPCZ」。8日以降、さらに雪の範囲が広がる可能性もあります。(12月7日OAサタデーステーション)
■今季初「JPCZ」が発生 降雪量全国1位の場所を取材
報告・仁科健吾アナウンサー 「歩道は私のひざ下くらいまで雪が積もっています」
北陸の新潟県妙高市では、12時間降雪量が34センチを記録し、全国1位となりました。7日は今季初となる“冬将軍”が到来し、列島を寒気が包み込みました。積雪量は全国およそ100地点で今季最大を記録。来週後半にもこの時期としては10年に一度レベルの大雪が、北日本から西日本の日本海側などで降る可能性があり、注意が必要です。
車の雪を落とす男性 「40センチくらい積もった。量はこの時期にしてはドカッと来ました」 約4時間除雪している男性 「朝6時からずっと、120メートルくらい除雪している。急に寒気が来て、この先がどうなるか」
同じくJPCZが流れ込んだ、長野県白馬村のスキー場は、7日の大雪で予定を1週間ほど早めて全コースをオープンすることができましたが、急遽オープンした分、パトロールが大変になってしまったといいます。
Hakuba47パトロール隊長:光保公広さん 「通常では6人ほしいところが、きょうはパトロールが3人。待機時間をなるべく短くして現場をたくさん見られるように工夫しています」
別の場所では、車3台がスタック。
スタックした運転手 「ナビが山の道を誘導してしまって、どんどん道が見えなくなるくらい雪が積もってきて、スリップして動けなくなってしまった」
■JPCZが発達すると太平洋側でも大雪に
気象学の専門家は「JPCZ」の危険性を強調します。
三重大学 立花義裕 教授 「JPCZがひとたび上陸すれば、1日に1メートル以上の雪を降らすほどの非常に強いパワーを持った雪雲です」
衛星画像にもはっきり映るほどの帯状の雲が、日本海側に記録的な大雪をもたらす「JPCZ」です。立花教授は去年1月、観測船で日本海の荒波を進み、JPCZ発生のメカニズム解明に挑みました。その結果…
三重大学 立花義裕教授 「冬は陸の方から南東に向かう風が吹く」
風は、二手に分かれた後、日本海上空で再び合流。風同士がぶつかることで強い雲が発生し、日本列島に近づくと大雪を降らせるといいます。立花教授は、地球温暖化が「JPCZ」をさらに発達させる要因になっているとも指摘。
三重大学 立花義裕教授 「温かい海だから水蒸気がたくさん大気にもうもうと上がる。それで、ひときわ強い雪雲になります。日本海側だけじゃなく、内陸地方、あるいは太平洋側、大雪が降る可能性が非常に高い」
実際、今年1月、日本海側から離れた岐阜県関ケ原町で12時間降雪量が58センチとなり、観測史上1位を記録するなど、大雪となりました。今シーズンについても警鐘を鳴らします。
三重大学 立花義裕教授 「これから来る12月の寒波は今年1月の寒波に匹敵するくらいの、強烈な最強クラスの寒波になる可能性があります」
■猛吹雪 除雪の人手不足どう解消?
今年も懸念される大雪被害。その対策にAIを活用し始めた地域もあります。
報告・高橋和ディレクター 「午前3時半過ぎ、留萌市内です。風が強く吹いてきて、時折体が浮いてしまうほどです」
今シーズン初めて暴風雪警報が出された北海道留萌市。ライフラインに直結する重要な作業が、除雪です。デイサービスの現場では…
グループホーム萌 山口竜浩さん 「除雪入ってくれたら運転しやすいんですけれども…」
路面の雪の状況次第で、その日のサービスが中止になることもあると言います。そこで、留萌市の除雪作業を担う企業「堀口組」が始めたのが、AIを使った効率化です。
堀口組 漆館直 DX推進担当 「出動する、しないの判断が大変。微妙な時は迷うんですよね」
これまでは、午前0時から2時間ほどかけて市内を巡回し、除雪を行うかどうかを判断、除雪を行う場合は、午前3時ごろから朝まで除雪作業をしていました。しかし2年前から、定点カメラの映像や天気予報などのデータを使い、除雪をするべきかどうかをAIが判断するシステムを導入。これによって市内の巡回が不要になり、さらに、前日の午後5時までに除雪の判断が可能になりました。小型カメラを棒の先につけ、雪を積んだトラックの周りを1周撮影するだけで、積んだ雪の量を測ることも可能に。従来3~4人がかりで、最大15分かけて行っていた測定作業が、1人が1分でできるようになったと言い、さらなる効率化を図っています。