福島第一原発事故を巡り東京電力の旧経営陣が強制起訴された事件で、最高裁は検察官役の指定弁護士の上告を退けました。元副社長ら2人の無罪が確定することになります。
東電の武黒一郎元副社長(78)、武藤栄元副社長(74)は去年、亡くなった勝俣恒久元会長とともに原発の事故で入院患者など44人を避難を余儀なくさせ死なせるなどした業務上過失致死傷の罪で強制起訴されました。
1審の東京地裁、2審の東京高裁は3人に無罪判決を言い渡していました。
判決を不服として、検察官役の指定弁護士が上告していました。
この裁判の争点は政府機関が公表した津波地震予測の「長期評価」の信頼性です。
最高裁は今月5日付の決定で「10メートルを超える津波が襲来する現実的な可能性を認識させるものではないとした2審の判断は合理性を欠くものではない」と指摘しました。
そのうえで「罪の成立に必要な予見可能性があったとは認定できず、無罪とした1審、2審の判決は相当である」として、上告を退けました。
これで元副社長2人の無罪が確定することになります。
また、2人とともに強制起訴されていた勝俣恒久元会長は去年亡くなったことにより裁判が打ち切られています。