フランスのマクロン大統領が「核の傘」をヨーロッパに広げる議論に入ると発言したことに対し、被爆者らから憤りの声が上がっています。
ニューヨークの国連本部では今週、核兵器の保有や使用などを禁止した核兵器禁止条約の締約国会議が行われていて、核廃絶に向けた議論が連日行われています。
こうした期間中に出たマクロン大統領の「核の傘」の拡大を巡る発言に対し、日本から参加している被爆者の和田征子さんは「由々しきことだ」と怒りをあらわにしました。
日本被団協 和田征子さん 「ヨーロッパ全体にっていうのはちょっとびっくりしますね。自分の国だけのことかと(核兵器)禁止条約に配慮をしませんよっていうことかと思っていたら、それ(核の傘)を広めるっていうことまでおっしゃったんですね。そうですか、それはちょっと残念な由々しきことだと思いますね」 「(Q.まさに核兵器廃絶に向けた機運を)それをやっている時にね、なんでこのタイミングなんだと思いますね。(核廃絶に)逆行するようなことを二分化するようなことになっているような感じがしますね」
ICAN国際運営委員 川崎哲さん 「ヨーロッパにおいてフランスの核の傘の話が出てくるというのは核廃絶に向けてはマイナスですよね。一方で、この会議場にある空気、熱気というものは、やはり核兵器への依存などということは大変危険だからやめなければいけないと、繰り返し繰り返し強い声明が出ている。このことは核兵器廃絶にプラス。この条約の中では、締約国は核兵器に依存した安全保障政策というのがいかに現実的に危険であるかと繰り返し繰り返し語っているので、こんなことがまだヨーロッパ諸国に届いていないということをきちんとこれから届けていくことが大事だと思います」