機械メーカー「大川原化工機」に対する警視庁公安部と検察の捜査の違法性を認めた東京高裁の判決を巡り、都と国は上告を断念し、謝罪しました。
大川原化工機を巡っては、機械を不正に輸出したとして社長らが逮捕・起訴されましたが、その後、取り消されました。
社長らは捜査は違法なものだったとして都と国に裁判を起こし、2審の東京高裁は1審に続いて捜査の違法性を認め、都と国に1億6600万円余りの賠償を命じました。
この判決について上告期限となる11日、都と国は上告をしないことを明らかにしました。
これで違法捜査を認めた2審判決が確定することになります。
警視庁は「判決を重く受け止めるとともに当事者の皆様に多大なご心労、ご負担をお掛けしたことについて深くおわびを申し上げたい」とコメントしたうえで、検証チームを設置すると発表しました。
東京地検も「大川原化工機及び関係者の皆様に多大なご負担をお掛けしたことについて、おわび申し上げたい」と謝罪しました。
今後、最高検で次長検事を責任者とした検証を行います。
また、警視庁と東京地検は当事者に直接謝罪する意向です。
上告しないことを受けて大川原化工機側が会見し、勾留中に判明した、がんで亡くなった元顧問の相嶋静夫さんの長男は「本来、警察・検察が謝罪するタイミングは起訴取り消しだった。なぜ被害者が4年近く頑張らないと検証に踏み出すこともできないのか、相変わらず私は憤りを感じる」と訴えました。
逮捕・勾留された大川原正明社長は「裁判で捜査がおかしかったと証言した警察官が大きな力になった」と述べました。
元役員の島田順司さんは「上告断念を聞いて、心の中の雲がやっと晴れた」と話しました。