千葉県の房総半島で大繁殖しているキョンは県が設定している「拡大防止ライン」を超え、茨城県で初めて捕獲されました。
■大繁殖キョン千葉を“越境”
千葉県君津市の沿道で9日夜、暗くなった中を徘徊(はいかい)するのは「キョン」です。
近付いても警戒する様子はありません。
シカのような姿と“人がえずくような声”とも形容される独特な鳴き声が特徴です。
千葉県の房総半島を中心に急増し、農作物の食害が発生するなど、社会問題となってきたキョン。
今、その分布域に変化が起きています。
約20年前、キョンの分布域は5市町のみでしたが、2025年までに18市町に拡大。生息数も約9万4000頭にまで急増しています。
専門家は、その繁殖力について…。
筑大学波 生命環境系 上條隆志教授 「場合によっては年2回の繁殖ペース、(1回に)生まれる頭数は1、2頭」
こうした事態を受け、千葉県が今年3月に設置したのが“防止拡大ライン”です。
ところが…。
鈴木農園 鈴木弘晃さん 「ブドウの木、食べられたらたまんない。めっちゃ食べている、ムシャムシャ。やめろやめろ、ブドウがならなくなってしまう」
先月31日にキョンが目撃された際の映像です。
その場所は千葉県が設定した“拡大防止ライン”から約80キロ離れた茨城県古河市です。
キョンを最初に発見した住民は…。
第一発見者 「夫が外に出てきたら、そっちに逃げた、小鹿だと思った。キョンがいるのも知らなかった。この辺に」
その後、夫と二手に別れてキョンを追い掛けると、近くにある農家のビニールハウスに逃げ込んだといいます。
鈴木農園 鈴木弘晃さん 「第一発見者がここで見張りしていて、逃げないようにしていた。ハウスの中をウロウロして、青いネットが見えるが、ネットの隙間から穴を掘ろうとして逃げようとしていた感じ」
育てていたブドウも食害に遭いました。
鈴木農園 鈴木弘晃さん 「こちらがキョンが食べて落としたブドウ」
その後、猟友会が駆け付けてキョンは捕獲されました。
茨城県によりますと、これまで5件の目撃情報があり、捕獲されたのは今回が初めてです。
鈴木農園 鈴木弘晃さん 「冗談抜きに水際で食い止めないと茨城にも入ってくると言っていて、『対策をお願いします』と話した」
茨城県内でこれまで目撃されているのは雄のキョン。県はまだ繁殖はしていないとみています。
■“拡大防止ライン”最前線の街
それでは、千葉県の“拡大防止ライン”の最前線は今、どうなっているのでしょうか。
向かったのは千葉県市原市。市原市内の農家では、9日に付いたばかりだというキョンの足跡が…。
農家で狩猟歴30年以上 田中正美さん 「あそこは稲が短い(キョンに)食べられた跡」 「(Q.キョンが歩いて稲を食べる?)そう」
市原市で農業を営む田中さん。仲間とともにキョンの捕獲に力を入れるようになったといいます。
市原市では昨年度からキョンの捕獲に報奨金を支払う制度を設け、今年度からはさらに7000円から9000円に報奨金を引き上げました。
筑大学波 生命環境系 上條隆志教授 「キョンはかなり小型の生き物なので人目に触れず個体群として渡っていく。手をこまねいていると、どんどん広がっていくと考えるべき」