衆議院選挙が終盤に差しかかろうとしている中、小豆島のサルの群れでは、新しいボスが誕生し、まさに「政権交代」が行われました。
香川県小豆島の自然動物園「お猿の国」です。約500匹のサルが2つの群れにわかれて暮らしています。そのうち、約200匹のサルで構成される「B群」では、人間の世界を意識したのかしていないのか先日、一足先に政権交代が行われたのです。
「お猿の国」ではB群のボスザルを「トラ」と呼んでいます。このたび10代目「トラ」に就任したのはどっしりとした体型のオス、「サブ」です。推定15歳、人間で言うと40歳くらいになります。
「お猿の国」飼育員 佐伯千代子さん 「(Q.ボスを決める際にはサルたちの投票が?)ありました。前のボスのほうがメスからの投票が多かったのかなと思いますけど、力ずくで今のボスに決まりました。」
サルの世界の政権交代劇。やはり「投票」ではなく実力で奪いとったようです。サブは気性が荒く自分の力をアピールするために手当たり次第周りのサルを攻撃します。
先代のトラは温厚な性格。周囲の人望ならぬ「サル望」も厚かったのですが、人間では70歳以上の高齢ということで3週間ほど前から体調を崩していました。 約2週間前、サブが森の中で休んでいた先代のトラに体当たり。これをきっかけに「政局」が動き始めました。 その後、先代のトラは体調が悪化し17日の朝、死亡。1年10カ月の短命政権に幕を閉じました。
現在、発情期のサブ。ファーストレディーならぬファースト・メスザルにご執心です。奥さんの前ではボスの威厳が関係ないのはサルも人間も一緒のようです。しかし、サルの社会と人間社会は大きな違いもあります。
「お猿の国」飼育員 佐伯千代子さん 「(サルは)危険を伴えばみんながお互いに助け合ったりとか、寒くなったりしたら暖を取ってお互い温め合ったりとかしてほほ笑ましい部分はたくさんありますけど、人間はちょっと希薄な薄情な感じを見受けられるところも多々あります。」
ボスとしてはまだまだ若いサブですがこれから群れを守りひとつにまとめていけるか、その手腕が問われます。
「お猿の国」飼育員 佐伯千代子さん 「前回のように年を重ねなかったら無理なことでしょうけれど、穏やかに群れをまとめていってくれるボスになっていってほしいと思います。」